災害が発生した際、人命救助やインフラの復旧と共に重要となるのが「ごみの処理」。
指定場所以外にごみが山積み…とならないよう、仮置き場の設置など“初動対応”が重要とされる。
梅雨を前に、広島県や市町による訓練が行われた。

西日本豪雨の災害ごみ 処理に3年

広場にゴム製のマットを運び、巻き尺で長さを測る担当者。「災害廃棄物の仮置き場」をつくっている。

2014年の広島土砂災害では多くの家屋が土砂に巻き込まれ、約52万2000トンの災害廃棄物が発生。2018年の西日本豪雨でも約120万7000トンのごみの処理に約3年かかった。災害が発生する度に、この災害廃棄物への対応が課題となっている。

竹原市の竹原浄化センターで行われた訓練
竹原市の竹原浄化センターで行われた訓練
この記事の画像(6枚)

5月22日、広島・竹原市の竹原浄化センターで行われた訓練には、広島県のほか災害廃棄物の処理責任がある県内11市町の職員や民間事業者のあわせて28人が参加。
参加者は「ここ何メートルでしたっけ?」「今、家電じゃろ?」とレイアウトを見ながらごみの種類別にゾーンを区切っていく。

三角コーンにひもを巻きつける海田町の職員。
ーーこういった作業は慣れない?
「そうですね。初めて経験しました」
ひもの長さが足りなくなるなど、実際にやってみないとわからないこともある。

分別せず廃棄されると復興の妨げに

災害廃棄物を置く訓練の準備が整った。

各ゾーンは「金属」や「木くず」、「家電」などごみの種類別に分かれ、一目でわかるようにパネルが置かれている。そして、ゼッケンをつけた誘導係の職員が持ち場についた。

2018年の西日本豪雨では約120万7000トンのごみが発生
2018年の西日本豪雨では約120万7000トンのごみが発生

災害時に仮置き場の設置など初動対応が遅れると指定場所ではないところにごみが山積みになり、悪臭や害虫が発生して公衆衛生が悪化することも。また、様々な種類のごみが分別されずに廃棄されると早期の復旧・復興の妨げにもなる。災害時に速やかに対応するため、平時からの運営訓練や十分な対策の検討が極めて重要とされている。

府中町の職員は災害時の経験から「持って来られたものの中に例えばベッドのマットレスがあったが、それがどう分類されるか判断に迷った」と話す。

また、広島県循環型社会課の石田陽子課長は「西日本豪雨から今年で7年になるので、その時の経験者は少なくなってきています。受付など不慣れなところも見られるような感じがしたので、各市町に持ち帰り今後に生かしてほしい」と訓練を振り返った。

いざ災害が発生すれば、目の前のことで精一杯になってしまうかもしれない。
自治体まかせではなく、平時から「災害廃棄物の仮置き場」の存在を知っておく必要がある。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
テレビ新広島

広島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。