元大阪地検のトップが部下に性的暴行を加えた罪に問われている事件。
被害を訴える女性検事が元検事正から渡された直筆の文書を公開した。

■文書には口止めを示唆する内容 「私の命に代えてやめていただくよう」
北川被告が送った文書:今回の事件は、よりによって大地検の検事正による大スキャンダルであり、発覚した場合、私のみならず検察組織に対しても強烈な批判があることは明らかです。上級庁に訴えることをお考えのようですが、それだけは私の命に代えてやめていただくよう伏してお願いします。あなたも属する大阪地検のためということでお願いします。

文書に書かれていたのは、口止めを示唆する内容。この文書を書いたのは元大阪地検トップの北川健太郎被告(65)だ。
北川健太郎被告(65)は、大阪地検の検事正だった7年前、部下たちとの懇親会の後、酒に酔って抵抗できない状態の女性検事に性的暴行を加えた罪に問われている。
初公判で起訴内容を認めた北川被告。しかし、その後、「同意があると思っていた」などとして、一転、無罪を主張し裁判で争う姿勢を示している。

■謝罪する一文がある一方、性交をした記憶はあるものの経緯などは覚えていない
21日、会見を開いた女性検事。
そこで新たに公開された文書。事件後に北川被告から送られたという。
そこに書かれていたのは…。
北川被告が送った文書:事件までは尊敬の対象であった私からの加害行為であり、そのこと自体赤の他人よりも大きなショックを受けていると思ってます。全部私の責任です。本当にごめんなさい。
自らの行為を認め、謝罪する一文が。
一方で、酒に酔っていて、性交をした記憶はあるもののそこに至る経緯などは覚えていないことも記されていた。

■事件の日の懇親会で誰が酔っていたのか 女性副検事は任意の取り調べの際真逆の供述
そして、文書では、もう一つの矛盾が明らかに。事件の日の懇親会で、誰が酔っていたのかという点。
北川被告が送った文書:副検事から聞いたところでは、彼女が私に『女性検事(文書は実名)が酔っているので、あなた(北川被告)が送っていきなさい』と言ったので、私が(タクシーに)乗ったということでした。
文書では、女性検事が酔っているので、北川被告はタクシーで送ることになったと書かれているが…懇親会に参加していた北川被告の元秘書である女性副検事は任意の取り調べの際に、これとは真逆の供述をしていたというのだ。
被害を訴える女性検事:『被害者は酔っておらず、副検事の依頼で、ひどく酔っている北川被告を被害者が官舎に送っていった』と供述していた。副検事が捜査段階で話した内容が嘘であることは明らかでした。
女性検事は、副検事(50代)を事件に関する証拠隠滅や検察内で被害者が誰であるかを口外した名誉棄損などの疑いで告訴・告発したが、大阪高検は、いずれも不起訴処分とした。

■「検事の仕事をしたい。穏やかに家族と過ごしたい。でも検察の二次加害でそれすらも叶いません」
被害を訴える女性検事:私は苦しみ続けています。検事の仕事をしたい。穏やかに家族と過ごしたい。でも検察の二次加害でそれすらも叶いません。これは、検察組織内での犯罪と二次加害に対する公益通報でもあります。
女性検事は、今もPTSDに苦しみ、休職している。
職場復帰するためにも、検察の一連の対応について第三者委員会による調査を求めている。

■「北川被告の言い分抜きで報じていくところも、注意しなきゃいけない」と橋下氏
北川被告は去年の10月、初公判では起訴内容を認めていたが、およそ2カ月後、同意があると思っていたと無罪主張に転じた。
21日明らかになったこの文書だが、性加害を認めて謝罪する文言も含まれていたということです。文書は裁判で証拠として採用されるようだ。
橋下徹氏:北川被告の犯罪性を裏付けるような証拠にはなるんでしょうが、注意しなければいけないのは、証拠が採用されても、証拠について北川被告も言い分を言える、また言い分を言えるような機会を与えなきゃいけないので、裁判の場でしっかりやってもらわなきゃいけない。今、我々は北川被告の言い分抜きで報じていくところも、注意しなきゃいけないですね。
ただ検察トップと、部下という地位があって、酒に酔っていたという状況であれば、女性を守る、北川被告を罰するっていう要請が強まるのは、もうその通りですが、北川被告の言い分もちゃんと出した上で裁判が行われるので、我々はそれを前提に報道しなきゃいけないです。

■「公にしないでくれって検事正という立場においていかがなものか」
文書では北川被告自身の命や組織を出して、女性検事に対し、公にしないことを求めていた。
安藤優子氏:『検事正による大スキャンダルであり』ってお書きになってるじゃないですか。つまり、自分がしてしまったことに関しての認識は大スキャンダルなんだっていう。でういう認識がありながら、何とか公にしないでくれっていうのは、検事正という立場において、いかがなものかとしか言えないです。
この後の裁判の行方が注目される。
(関西テレビ「newsランナー」2025年5月21日放送)
