宮崎市の助産師・藤田さんが絵本『ママの抱っこがいいの』を出版した。絵本では赤ちゃんの視点を取り入れて、赤ちゃんが望んでいる抱っこの仕方やあやし方をママに伝えている。藤田さんは産後に支援が必要なママたちのためクラウドファンディングを実施し、支援金を絵本の出版費用や助産院の拡充に活用し、地域全体で子育てを支える環境づくりに役立てたいと話す。
助産師が絵本に込めた思い

『ママの抱っこがいいの』 絵本の作者は藤田美和さん。

読み聞かせをする藤田さん:
ママのお腹の中はとっても気持ちよかったよ。ちゃんと覚えているよ。

宮崎市では、藤田さんの読み聞かせを、赤ちゃんが気持ちよさそうに聞いている。助産師の藤田さんは、産前産後のママに寄り添って36年になる。なぜ助産師さんが絵本を作ったのだろうか?
絵本を出版・助産師 藤田美和さん:
この仕事を長くしていて「直接こうやったらいいよ」など、手を差し伸べながら抱っこの仕方や泣いたときのあやし方を話してきたんですけど、もっと他にも伝わる方法はないかなと思って絵本をつくった。3年くらいかかった。

藤田さんには、「赤ちゃんはなぜ泣いているんだろう」と戸惑うママに、「赤ちゃんが望んでいる抱っこの仕方やあやし方を伝えたい」という思いがあった。

絵本は、あたたかい色づかいで描かれている。実はこの絵も…

Q.絵も藤田さん?
藤田さん:
絵画教室に1年間通って、先生に色の塗り方を教わって、3年くらいかかって完成することができた。
赤ちゃんの「声」をきく

この絵本の特徴は「赤ちゃんの視点」を取り入れていることだ。藤田さんは、赤ちゃんの「声」をきくということが大切だという。

藤田さん:
乳児期にママと赤ちゃんとの関係が出来ると、その後もその子が育っていく中で、子供の声をきこうという関わりがずっとできるので、思春期になってもいい関係でいられると思う。

子育て中のママ:
どうしても赤ちゃんと2人きりになると「疲れた」という時があるんですけど、『ママの抱っこがいいの』という絵本を読んでからは「ママの抱っこがいいならしょうがないか」と、より抱っこを「ママの方がいいんだもんね」と言って気軽に抱っこしてあげられる気持ちになった。
「昔の子育て」ができない課題に向き合う
藤田さんはいま、助産院の拡充を考えているという。産後、赤ちゃん中心の生活に変わり困っているママのニーズがあり、専門家として手助けしたい思いからだった。

藤田さん:
助産院を大きく、もう少し多くの人に利用してもらえるように、今ベッド数が2床で届け出をしていますが、8床にしようと思っている。産後、困っているママが増えてきた。昔の子育てを継承できないという社会的な課題があって、そこを少しお手伝いできればと思う。

藤田さんは5月31日までクラウドファンディングを実施している。支援金は絵本の出版費用や助産院の拡充などに活用し、産前産後の赤ちゃんと家族を支える環境づくりに役立てることにしている。
藤田さん:
ママだけが一人で子育てするのではなく、社会全体、みんなで助け合って子育てすれば楽しくなるのではと思う。

実は藤田さんは、11歳のときに母親を妊娠高血圧症候群で亡くし、この道を歩んできた。夢だった赤ちゃんとママのための絵本の出版を叶え、安心安全な妊娠と出産、子育てが当たり前になる社会をめざした藤田さんの活動が続く。
(テレビ宮崎)