2024年、1都3県で相次いだ闇バイトによる強盗事件で新展開です。警視庁などの合同捜査本部が、千葉県市川市で起きた強盗事件の指示役とみられる男4人を逮捕したことが新たに分かりました。
闇バイトによる強盗事件 わずか2ヵ月間で18件と多発
首都圏では、2024年8月27日から11月3日までの約2ヵ月間に、闇バイトによる強盗事件が18件発生。
横浜市青葉区で起きた事件では、後藤寛治さん(75)が暴行を受け死亡するなど、世間が震撼する事態となりました。
こうした状況に、警視庁と神奈川・千葉・埼玉県警は、「実行犯」だけでなく、事件の本筋となる「指示役」検挙に向け合同捜査本部を立ち上げ、捜査を続けてきました。
指示役とみられる男4人をついに逮捕
2024年10月17日、市川市の住宅に男3人が押し入り、就寝中だった50代の女性に暴行を加えてケガをさせ、現金などを奪ったうえ、連れ去って監禁した凶悪事件。
実行役の久保田陸斗被告(22)・藤井柊被告(27)は逮捕・起訴され、高梨謙吾受刑者(22)は懲役16年の実刑判決が確定していますが、合同捜査本部が、指示役とみられる4人を事件から1年以上経過した2025年12月、新たに逮捕したことが分かりました。
住居侵入と強盗致傷の疑いで逮捕されたのは、福地紘人容疑者(26)、齋藤拓哉容疑者(26)、村上迦楼羅容疑者(むらかみ・かるら 27)、渡邉翔太容疑者(26)です。
合同捜査本部が、闇バイトによる一連の強盗事件で指示役を摘発したのは初めてです。
「蹴れ」「折れ」生々しい指示も
指示役が実行犯への連絡に使っていたのが、秘匿性の高いメッセージアプリ「シグナル」です。
指示役は「ヘルシンキ」「パトリック」など9個のアカウント名を使い分けていたとみられています。
実行役のスマホの解析では、事件の準備や実行方法、奪った金の回収などの犯行内容の指示は、アカウントごとにある程度分担されていた実態も明らかになりました。
また、犯行現場にいる実行役に対し、「腹を蹴れ」「指を折れ」などリアルタイムに通話で具体的な暴行も指示していたとみられています。
執念の捜査 750台の携帯を徹底解析
合同捜査本部は、18の強盗事件で使用されたシグナルのアカウント名に着目し、同じアカウントが使われた別の事件や実行役が共通する事件、手口が酷似している事件などを洗い直しました。
その結果、「18件の強盗事件」以外にも他府県で起きた様々な事件も含めて押収した携帯はおよそ750台に上りました。
こうした膨大な端末の解析と防犯カメラ捜査などを1年以上かけて進め、指示役とみられる4人にたどり着き、「犯行時間帯に指示していたとしても矛盾はない」と裏付けを取ったのです。
奪った金は回収役から…
捜査関係者によりますと、奪った現金は、回収役の3人を通じて福地容疑者に渡っていたとみられています。
逮捕された4人の中でも福地容疑者が主に現金回収役への指示をしていたということです。
18の首都圏強盗事件との関連は
今回の事件で回収役を担ったとして立件された3人は、横浜市青葉区で後藤寛治さんが亡くなった強盗致死事件でも回収役だったとされる人物です。
3人に回収を指示していた福地容疑者は、横浜の事件への関与も疑われる状況で、合同捜査本部は引き続き、1都3県で起きた「18の強盗事件」との関連性についても慎重に捜査を進める方針です。
