FNNが25日と26日に実施した世論調査で、21日に発足した高市内閣の支持率は75.4%と、石破内閣だった9月の調査から倍増した。
調査の詳細を分析する。
◆内閣支持率…“意外な”?支持層も判明
高市内閣の支持率は75.4%だった。支持政党別に見てみると、自民党支持層の93.4%、日本維新の会支持層の75.9%が「支持する」と答えたほか、国民民主党(86.7%)、参政党(87.4%)、日本保守党(81.0%)の支持層も「支持する」が8割を超え、保守系から高い支持を得ていることがわかるが、れいわ新選組支持層も71.6%が「支持する」と答えているのは、日本初の女性首相という“革新”が起きたことへの評価だろうか。
一方、「支持しない」は、立憲民主党(63.7%)、共産党(87.5%)、社民党(90.4%)の支持層で高かったが、公明党支持層も53.2%と過半数が「支持しない」と答えた。
◆高市内閣支持の理由…若年層は「人柄」重視か
高市内閣を「支持する」と答えた人に、その理由を尋ねたところ、「政策に期待するから」(38.1%)、「高市首相の人柄が信頼できるから」(19.9%)、「指導力に期待するから」(16.1%)、「他に良い人がいないから」(13.4%)、「自民党中心の内閣だから」(4.2%)の順となった。
これを年代別に分析すると、18歳、19歳~20代だけは「高市首相の人柄が信頼できるから」が34.9%で最多となり、「政策に期待するから」(29.3%)を上回った。
一方、高市内閣を「支持しない」理由には、全体の39.4%が「自民党中心の内閣だから」を挙げて最多だったが、30代では「政策に期待していないから」が52.7%と過半数を占めた。
◆高市首相の女性登用への評価…男性の方が批判的?
高市首相は自民党総裁選挙の際、閣僚や党役員の人事について「今までよりはるかに多く女性からも選んで活躍していただく」と発言していたが、実際に登用した女性は党役員で1人、大臣で2人に留まった。
初の女性首相による人事ゆえ、これまでにない女性登用に期待を寄せた人が多いのではないかと考えたが、「もっと多く起用すべきだ」と答えた人は全体の2割弱(19.7%)だった。
男女別でみると、「もっと多く起用すべきだ」と考える人は男性(20.5%)の方が女性(19.0%)より若干多く、逆に「適切な人数だ」と考える人は女性(24.2%)の方が男性(23.5%)より若干多い。
ただ、男女いずれも過半数を占めたのは「どちらとも言えない」(男性の54.3%、女性の56.3%)で、“ガラスの天井”を破った首相が誕生する時代の有権者は“女性だから”ではなく“適材適所”の登用を強く望んでいると言えるかもしれない。
◆野党統一の首相候補擁立…有権者の共感も得られず
立憲は、政権交代を目指して首相指名選挙での候補統一を国民民主と維新に呼びかけたが、合意に至らなかった。
野党が首相候補を「統一した方がよかった」と答えた人を支持政党別に見ると、「統一した方がよかった」は、立憲(54.5%)、共産(82.1%)、社民(59.3%)などの支持層に多かったが、全体では2割弱(19.8%)に留まった。
一方で、「統一しなくてよかった」は、自民(57.0%)、維新(36.9%)、国民民主(66.0%)、れいわ(36.5%)、参政(53.4%)などの支持層に多く、全体で4割強(42.2%)を占め、立憲の呼びかけは有権者の共感も多くは得られていなかったことがわかった。
◆連立合意政策の優先度…維新と有権者の意識のズレ明らかに
維新は「副首都構想」「企業・団体献金の廃止」「国会議員定数の1割削減」などへの取り組みを自民党に合意させ、連立政権に参加した。
特に、衆議院議員の定数1割削減法案は、12月中旬まで開かれる予定の臨時国会で成立を目指すなど、真っ先に実現させて実績を作りたい考えだ。
しかし、連立合意政策の実現について全国の有権者が最優先に求めたのは、「食料品の消費税率2年間ゼロ」(26.3%)や「年金や医療などの社会保障改革」(22.3%)であり、議員定数削減を最優先に挙げた人は18.2%だった。
維新は、今国会での定数削減が実現しなければ連立離脱も辞さない構えを見せているが、有権者は物価高対策などを最優先に求め、野党からは拙速な定数削減への反発や懸念が相次ぐ中、高市首相がどんな舵取りをみせるのか、11月4日に行われる衆議院での代表質問を皮切りに年末に向け続く国会論戦に注目したい。