ですから「Yes,and法」で伝えるのです。

「Yes,and法」とは、いったん受け入れるまでは一緒ですが、それをさらに発展した形(and)で相手を説得する考えです。

「手を挙げたのは素晴らしい挑戦だよ。うれしかったな」
と背中を押します。

その後、
「これからどうする?」
「これからも今日みたいに手を挙げてほしいな」
と伝えます。

すると、「次からも手を挙げてみよう」と思うようになります。

大きな挑戦よりも小さな挑戦

人は毎日小さな挑戦を繰り返しています。
・友達のために、先回りして準備したら喜んでくれた
・勇気を出して、給食じゃんけんに立候補してみた
・友達が困っていたから、勇気を出して声をかけてみた

挑戦を避けてしまうと、次のようなマインドになります。
・友達が怒るかもしれないから、何かするのはやめよう
・食べたいけど我慢しよう
・友達は困っているけれど、見て見ぬふりをしよう

挑戦に失敗は避けられません。正しいやり方を教えることは悪くない。しかし、教えすぎると、自分で考えないで指示を待つ子になります。すると、自分で判断できない子に育ってしまうのです。

親が共感し、「Yes,but」ではなく「Yes,and」で失敗をいい経験にするサポートをしましょう。

まずは、あなた自身も子どもと一緒に小さく挑戦するところから始めてください。子どもの前で、「今週、○○に挑戦する!」と親が宣言することをおすすめします。

さっそく小さなことを宣言しましょう。失敗を通じて学び、成長する勇気を育てるための声かけが大切なのです。

『子ども教育のプロが教える 自分で考えて学ぶ子に育つ声かけの正解』(ダイヤモンド社)

庄子寛之
ベネッセ教育総合研究所 教育イノベーションセンター 主席研究員。元東京都公立小学校指導教諭。東京学芸大学大学院教育心理学部臨床心理学科修了。道徳教育や人を動かす心理が専門。著書に『子どもが伸びる「待ち上手」な親の習慣』(青春出版社)などがある。

庄子寛之
庄子寛之

ベネッセ教育総合研究所 教育イノベーションセンター主席研究員(2025年4月から)。元東京都公立小学校指導教諭。東京学芸大学大学院教育心理学部臨床心理学科修了。道徳教育や人を動かす心理が専門である。
教育委員会や学校向けに研修を行ったり、保護者や一般向けに子育て講演を行ったりしている。研修・講演は年間150回以上。20年近くの教員生活で教えた児童は5000人以上。講師として直接指導した教育関係者は1万5000人に及ぶ。
また、ラクロスの指導者としての顔を持ち、東京学芸大学女子ラクロス部監督、U-21女子日本代表監督、U-19女子日本代表監督を歴任。子ども教育のプロとして、NHK「おはよう日本」や朝日新聞、毎日新聞などのメディアなどにも取り上げられた。著書に『子どもが伸びる「待ち上手」な親の習慣』(青春出版社)などがある。