「自分で考えて学ぶ子に」と願う親は多いだろう。ただ、親の「声かけ」を変えることで子どもが成長していくという。

子育ての理想と現実の壁にぶつかり、悩んだ経験を持つ、二児の父親でもあるベネッセ教育総合研究所・主席研究員の庄子寛之さん。

教師をしながら子どもと接し、同時に大学院で心理学を学び、現在はデータを通して子どもと保護者の変化を調査するなど知見を深めている。

「誰もが一度は感じたことがある子育ての悩み」を声かけの手法で解決していく、著書『子ども教育のプロが教える 自分で考えて学ぶ子に育つ声かけの正解』(ダイヤモンド社)から、「挑戦を避ける子」への声かけについて一部抜粋・再編集して紹介する。

増える挑戦することが怖い子

「うちの子は新しいことに挑戦することを避けてしまいます。どうすればよいですか?」
→小さな挑戦を繰り返し、失敗をいい経験に変える

「難しいことや新しいことにいつも挑戦したい」と答える子は年々、減っています。挑戦することが怖いと思っている子が増えている。これは大きな問題です。

人間は、生まれながらに挑戦する生き物のはずです。赤ちゃんのときは挑戦し続けていた本能は、いつ、どのようにして失ってしまったのでしょうか。

挑戦しない子は「いい子」に育つかもしれないが…(画像:イメージ)
挑戦しない子は「いい子」に育つかもしれないが…(画像:イメージ)
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挑戦しない子は、失敗しません。迷惑をかけない「いい子」に育つかもしれませんが、ずっといい子を演じてしまいます。

大学4年生になって、「先生。私今まで怒られたこともないし、何をしていいのかわからないんです」と教室まで言いに来る教え子が、今までたくさんいました。

挑戦を避けていれば、失敗することはない。でも、失敗の経験からはたくさんのことを学べます。ただ、悪い失敗ではなく、いい失敗を学んでおく必要があります。

いい失敗にするには…?

いい失敗にするには、2つのことが大事です。
(1)失敗をいい経験にする
(2)親が小さな挑戦をして失敗を見せる

これからの時代、誰でもできることができることには、あまり意味がありません。誰も思いつかないようなアイデアを生み出す豊かな発想ができることが必要です。

世の中にあふれた正解を再現できる人も大切ですが、それ以上に新しい正解をつくる人が求められます。挑戦を恐れず、小さな失敗を積み重ね、すぐ改善できることが大切です。