上野さんは「基本ですが、普段からの掃除が大切です」と言う。

「台所の油汚れ、お風呂の水垢なども“通常の使用の範囲”を超えると判断されることがあるので、掃除することをお勧めします。意外と盲点なのが、シンクや浴室の排水溝です。目に見える部分だけでも、清潔にしておきましょう」

浴室もきれいにしておきたい(画像はイメージ)
浴室もきれいにしておきたい(画像はイメージ)

台所は料理をしたら、汚れがこびりつかないうちに拭いておく。浴室はできれば毎日洗う。排水溝には水切りネットをつけ、生ごみや髪で詰まらないようにすることがポイントだ。

壁紙、天井、床も、においや汚れが残らないよう、こまめに拭き掃除したい。

エアコンは取り扱いに注意

ちなみに、入居時から設置してある「エアコン」は退去後に管理会社などが掃除するもの。入居者がわざわざ、クリーニング業者に依頼しなくてもいいそうだ。自力で奥まで掃除すると、思わぬ故障につながることもあるので注意したい。

ベランダは余裕があったら掃除を(画像はイメージ)
ベランダは余裕があったら掃除を(画像はイメージ)

このほか、ベランダや共用廊下は共用部分として扱われるため、原則として原状回復の範囲には含まれないが、汚れが気になる場合は掃除しておいたほうが安心だという。

汚れや破損を見つけたら記録しよう(画像はイメージ)
汚れや破損を見つけたら記録しよう(画像はイメージ)

最後に上野さんは「入居中に壁紙、天井、設備に汚れや破損が起きた場合は、早めに管理会社や大家に報告しましょう」とも話した。

放置すると、原状回復費用として請求される可能性も出てくるそうだ。汚れや破損を見つけた日時や状態が分かるよう、スマホで写真撮影しておくのがお勧めという。

原状回復費用は住んでいる間の“心がけ”で変化する。部屋を借りている意識をもって、大切に使うようにしよう。

上野典行(うえの・のりゆき)
慶應義塾大学法学部を卒業後、株式会社リクルート入社。求人広告の営業・制作を経験の後「リクルートナビ」を開発。現在の「スーモ(SUUMO)」も含めた商品・事業開発責任者に従事する。2012年1月より、不動産業界のコンサルティング会社「プリンシプル住まい総研」所長を務め、講演・執筆活動をしている。

取材・文=有竹亮介

プライムオンライン特集班
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