兵庫・淡路島に、数千もの墓石が不法投棄された“墓石の墓場”がある。先祖代々の墓や江戸時代のものも含まれ、撤去費用は数千万円規模に上るという。土地所有者も対処できない状態が続いていたが、近くのサイクリングロード整備にともない、この土地を駐車場に活用する案が浮上している。

先祖代々の墓も積み上がる異様な光景

兵庫県の人気観光スポットとして知られる淡路島南部。

県の職員とともに、道路脇の空き地を奥へと進むと、そこには乱雑に積み上げられた無数の石の山があった。

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一つ一つを見ると、多くは四角い形をしている。この石は、全て山林に不法投棄された「墓石」だ。

兵庫県淡路県民局・山根隆二朗さん:
大体1500tくらいあるのではないかと。

雑草が生い茂る山林に、名前や日付が刻まれた石が積み上げられた“墓石の墓場”。高さは約4mで、墓地に置かれていたのか、周囲にはお地蔵さんも転がっていた。

さらに奥へと進むと、「天保13年(1842年)」と書かれた180年以上前の江戸時代後期に建てられた墓もあった。

不法投棄は20年前から…「墓じまい」の影響も?

不法投棄による墓石の墓場について、専門家は先祖代々受け継いだ墓を撤去する「墓じまい」の影響を指摘する。

シニア生活文化研究所 小谷みどり代表理事:
2023年度は17万件近く「墓じまい」があった。10年前に比べると約2倍近い数に増えている。石材店の中には、引き上げてきた墓石を粉砕して廃棄するのにお金がすごくかかるので、不法投棄する業者がある。

不法投棄が始まったのは約20年前からで、2014年の取材では既に、訪れた記者の背丈の2倍以上の高さまで墓石が積み上がっていた。

兵庫県によると、墓石の撤去には数千万円の費用がかかるため、不法投棄された土地の所有者も手を出せないという。

不法投棄現場を活用する案が浮上

現場の周辺は、瀬戸内海を望む美しい風景がSNSでも話題となる“映えスポット”だが…。

大学生:
墓石が置かれているとやっぱ怖い。

大阪から来た人(40代):
え?怖いというか、不気味というか。

しかし今、長年地元を悩ませてきた墓石問題に、ある解決案が浮上していた。

南あわじ市 万博・観光戦略統括官 吉村文章さん:
このすぐ近くで現在、大鳴門橋の下に自転車道を県が整備中で、さらにお客さんが増える。大きな駐車場が必要。

今、淡路島と徳島県をつなぐ大鳴門橋ではサイクリングロードの整備が進行中で、完成すれば
観光客が大幅に増えることが予想されている。

今でも周辺は週末となれば観光客で大渋滞。さらにオーバーツーリズムとなることが予想されるため、新たな駐車場の整備計画が進行中で、その候補地として不法投棄現場を活用する案が浮上したのだ。

南あわじ市 万博・観光戦略統括官 吉村文章さん:
交通渋滞解消は積年の課題だったので、この機会に課題を解決する。そして産廃(の墓石問題)も解決する。地権者さんから土地を譲ってもらい、駐車場を整備するという計画を進めている。
(「イット!」3月25日放送より)

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