日本人の大腸がんの罹患率が年々増えている。

2015年には日本人のがんで最も多くなり、女性にとっては死因の第1位となった。

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背景に考えられるのは食事の欧米化。脂肪分や添加物の多いファストフードの多用が原因の1つと見られている。

しかし、大腸がんはステージ0やステージ1で発見されれば5年生存率は90%を超えている。また、すい臓がんなどと比べて、進行して発見された場合でも手術や化学療法で根治の可能性も期待できる病気だ。

どうしたら大腸がんを早期に発見できるのか。体が発する危険信号や公費で行われている便検査の重要性などについて、函館稜北病院総合診療科の舛森悠医師に聞いた。

大腸がんを疑う4つの症状

「大腸は全長1.5~2メートルほどあるお尻に近い消化管です。小腸から移動してきた食べ物の水分を吸収し、最後は便として体外に排出しています」

函館稜北病院総合診療科・舛森悠医師
函館稜北病院総合診療科・舛森悠医師

大腸は1日最大6リットルの水分を吸収できるというが、この大腸にがんができた場合、どのような症状が見られるのか。

「大腸がんに初期症状はありません。がんがある程度大きくなった時に見られる『初発症状』では、便に変化が見られるなど主に4つのサインがあります。

この段階でも手術や化学療法で根治する可能性はあるので、見逃さないことが大事です」

では4つの初発症状をそれぞれ見ていこう。

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【便が細くなる】
小腸で栄養分が吸収された食べ物の残りは、大腸の「上行結腸」「横行結腸」「下行結腸」「S字結腸」「直腸」の順に流れ、水分が吸収されることで固形の便となり肛門から排出される。

「下行結腸」以降にがんができると、腫瘍によって便の通り道が狭くなり便が細くなる。便が以前に比べて「持続して細い」時は病院を受診しよう。

【便秘になる】
大腸の通路が狭くなったり、腸の動きが悪くなることで便秘になりがちになる。

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【血便】
肛門に近い部分の大腸から出血している場合は、赤い血がそのまま便に混ざることがある。痔の可能性もあるが自己判断せず医師に診てもらうことが大事だ。

また、便が体内に長く留まっていることで血液が酸化し便が黒くなることもある。これは大腸がん以外にも、食道がん、胃がん、十二指腸がんの疑いがあるので、早急に病院を受診しよう。

貧血
すべてのがんの特徴に「新生血管」というものがある。がん細胞に栄養を届けるために臨時にできた新生血管は脆く、便が通ったり、大腸が動いた刺激で出血しやすい。

大腸がんからの出血は、必ずしも目に見える血便として現れるとは限らない。微量の出血が持続することで貧血が進行し、体のだるさ、息切れ、顔面蒼白などの症状が現れることがある。

特に原因不明の貧血を指摘された場合は、大腸がんの可能性も考慮し、精密検査を検討することが重要だ。