大腸がんはどうしたら早期に発見できるのか。
舛森医師は公費で行われている身近な検査を毎年受けることを推奨する。
検便で死亡リスクが約20%減少
大腸の中を直接見るためには大腸内視鏡検査(大腸カメラ)が最も有効だが、数日前から下剤を飲んでお腹の中を空にするなど肉体的にも精神的にも負担は大きい。
そこで受けてもらいたいのが、健康診断や自治体などで行われているおなじみの便潜血検査、通称「検便」だ。便の表面を2日連続で採取し、血液が少しでも混ざっていれば陽性となる。

「『この検査本当に意味あるの?』と疑う方がいますが、とても大事な検査です。胃がん、乳がん、子宮がんと並んで公費で行える検査の1つなので、40歳を過ぎたら必ず受けましょう」
便潜血検査で大腸がんの死亡リスクが約20%減少したというデータもある。
しかし現状では、日本人の約4割しかこの検査を受けていないという。

まずは便潜血検査を受けて、陽性が出たら大腸カメラで精密検査を受けよう。
陽性で大腸カメラをやった人のうち、大腸がんが見つかった人の約50%はステージ1だったという報告がある。
それと比較して、貧血や便が細いといった症状から大腸カメラを実施した人でステージ1だったのはわずか17%だったという。

「便潜血検査は大腸がんを早期発見するための唯一の手段と言って良いほど大事な検査です。『陽性』が出たら大腸カメラを行い、ポリープがないかも調べてください。
大腸がんの約80%はポリープの一種の「腺腫」が徐々に大きくなってがん化したものです。大腸カメラで早期に取り除けばがんを予防できます」
大腸カメラが苦手な人には、欧米でよく使われている「大腸CT」をはじめ、複数の選択肢がある。
まずは便潜血検査を毎年受けよう。
そして陽性が出たら「痔だろう」と自己判断せず、医師と相談して精密検査をどうするか考えるのが良いのではないか。
舛森悠
北海道で70〜100歳代の患者さんたちと楽しく暮らす総合診療専門医。登録者70万人の「YouTube医療大学」にて患者さんからの学びを発信中。単著『総合診療科の僕が患者さんから教えてもらった70歳からの老いない生き方』(KADOKAWA)