世界有数のサプリメント(以下サプリ)大国となった日本。
厚生労働省の調査では、20代~70代以上まで全世代において約3人に1人はサプリを摂っているという。特に女性は中高年を過ぎてから摂取の割合が増えている。

健康や美容への意識が高い人ほど「体に良さそう」とさまざまなサプリに手を出してしまいそうだが、それらは本当に必要なのか。
サプリの中には摂り過ぎると頭痛や脳出血を起こしたり、妊娠中の女性は胎児に影響を及ぼすものもある。
知っておきたいサプリの正しい知識について、函館稜北病院総合診療科の舛森悠医師に聞いた。
サプリと医薬品の違い
「近年、健康維持や体調改善を目的としてサプリを利用する方が増えています。しかしサプリと医薬品は性質や承認プロセスにおいて明確な違いがあります」

そもそもサプリとは何か。
サプリは英語の「サプリメント」の略で、「補足する」「補う」といった意味がある。主に「食品」として分類され、栄養補助を目的とする製品だ。
そのため、医薬品のように効果や効能を標榜することはできず、病気の治療や予防を目的としたものではない。
承認プロセスにおいても「食品」として扱われるため、製造や販売前に厚生労働省などの許可・承認は原則必要ない。規制されるのは「食品衛生法」に基く安全性や衛生基準のみとなる。

一方、医薬品は病気の治療や予防を明確な目的とし、薬機法に基き有効性や安全性を確認するための厳格な審査(臨床試験を含む)を経て、国によって承認されている。
妊婦やがん患者はビタミンに注意
「食品」に分類されるため、誰でも簡単に店舗やネット通販で買えてしまうサプリ。それが故に注意が必要だと舛森医師は指摘する。

「サプリの中で最も飲まれているのはビタミンです。ビタミンは体に必須の栄養素なので積極的に摂る人が多く、医師も『医薬品』として処方することがあります。
しかし自分に何が不足しているのかを分からずに使用を続けると、逆に病気を誘発したり、妊娠中の女性の場合は胎児に影響を及ぼす危険性もあります」