山形県内で活躍する警察官をたたえる「山形県民の警察官」の受賞者を紹介する。2人目は、卓越した鑑識技能で事件の立証を支える、村山警察署の警部補だ。
「証拠は必ずある」鑑識係長・鈴木警部補
「あそこにあるはっきりしている足跡と、ここにある部分的なものしかない足跡。どちらも同じ足跡と明らかであれば、向こう優先」などと、後輩たちの鑑識指導にあたっているのは、村山警察署の鈴木健太郎警部補(47)。

2005年に警察官となり、現在は刑事課の鑑識係長として指紋やDNAなど、事件の立証に欠かせない証拠資料を発見・採取する緻密な鑑識作業にあたっている。

村山警察署刑事課鑑識係長・鈴木健太郎警部補:
証拠が必ずある。無いわけがないので、どこにどういった形で痕跡が残っているかというのは現場ごと全部違うので、犯人の行動を推測して必ず何か持って帰る気持ちでやっている。

「証拠は必ずある」これまで刑事として過去9年間と長いの経験をもつ鈴木警部補は、鑑識と、刑事、両方の目線で犯人に結びつく痕跡を見逃さない。
事件解決の支えとなる高い鑑識技能と組織をまとめるリーダーシップなどが高く評価され、2024年度の山形県民の警察官に選ばれた。

鈴木警部補は「非常に栄誉を頂いたと感じるので、恥ずかしい仕事はできない。安全安心というのが警察の掲げている目標なので、それに応えられるような仕事をしたい」と強い責任感を持って仕事に取り組んでいると話す。

秋久保秀紀課長は「誠実に取り組んでいる。鑑定機関、外部機関からの信頼も厚いので安心して仕事を任せることができる。非常に頼りにしている。今後もその技術を若い人に伝承してほしい」と鈴木警部補を高く評価している。
薬物密売事件での鑑識部門の陣頭指揮
2024年、村山警察署に合同捜査本部が設置された薬物密売事件では、鑑識部門の陣頭指揮をとった鈴木警部補。

膨大な量の証拠品の鑑識作業に当たりながら、応援に駆け付けた機動鑑識隊との役割分担や日程調整、さらに鑑定を担う科学捜査研究所との調整も行った。
どの証拠品について、一度にどのくらいの量を鑑定に持ち込むのか?知識と経験に裏打ちされた判断が迅速な鑑定依頼につながり、事件の早期解決に貢献した。

鈴木警部補:
薬物関係は全て鑑定に出すが、一度に大量の物を持ち込むことはできないので科学捜査研究所と調整をしながら、いつどのくらいの量を持ち込んで鑑定をするのか。一般の事件も入ってくる中で、そちらに人員も割かなければいけない。残った人員でどこまで作業ができるのか。その日その日で考えながら調整しながらやっていく必要があった。

自分の知識と経験を活かし、後輩の指導にあたる鈴木警部補。
後輩たちに教えるのは、経験だけに頼らないこと。過去に経験した同じような現場でも、先入観を排除して現場をしっかり観察し、判断することが、最も重要だと考えている。
鈴木警部補は「経験だけじゃなくそれを踏まえて自分はどう考えるのかというのを現場ごとに自分で判断するように指導している。自分の目で見て判断してどう考えるか」と語る。
住民の安心安全を支える鈴木警部補
「住民が安心して暮らせる街にしたい」と話す鈴木警部補。日々、繊細で地道な作業を重ね、県民の安心安全を支える。

鈴木警部補:
一件でも多く現場から資料を採取して犯人に結び付ける丁寧な鑑識作業を心掛けたい。安心して夜寝られる、安心して毎日を過ごせる。犯人を検挙することによって、事件解決に少しでも貢献できれば県民の安心安全に一歩でも近づけると考えている。
「山形県民の警察官」を受賞した鈴木警部補と、先に紹介した県警本部・伊藤巡査部長をたたえる表彰式は、31日に山形市で行われた。
(さくらんぼテレビ)