アメリカのトランプ大統領が8日(日本時間9日午前)、イスラエルとイスラム組織ハマスによるパレスチナ自治区ガザでの戦闘終結に向けた和平案の「第1段階」に合意したと発表した。
10日はノーベル平和賞に受賞者が発表されるが、トランプ大統領はこれまでに「自身が選ばれなければアメリカへの侮辱」といった発言をしている。
「第1段階」合意発表の“タイミング”
宮司愛海キャスター:
トランプ大統領が発表した和平案の第1段階の内容を見ます。

イスラエル側は合意された境界線まで軍を撤退させること、そしてハマス側は人質全員を解放することなどを求められています。

そして、ハマスが拘束する人質は遺体も含めて48人ということで、これに関してトランプ大統領はおそらく13日に解放されると発言しています。
柳澤さん、この合意に至ったタイミングはどうご覧になりますか。
SPキャスター・柳澤秀夫氏:
トランプ大統領のイスラエルに対する圧力が背景にあると思うんですが、タイミングということで言うと、明日(10日)ノーベル平和賞が発行されますからね。その辺はやっぱり意識してこのタイミングになっているということは言えると思います。
青井実キャスター:
ただ、合意発表後もイスラエル軍の攻撃は続いているわけで、第1段階の合意というのは本当に実行されるんでしょうか。

SPキャスター・柳澤秀夫氏:
確かにハマス側はもうカードがないんです。
イスラエル側もネタニヤフ首相は、人質の家族からの批判が相当強まってますから、何らかの合意を取り付けて、トランプ大統領の顔を立てるということでしょう。
人質全員の解放と言ってますけど、生存が確認されているのが20人で、その中の2人はどうも生きてるか死んでるか分からないと。
それ以外の亡くなった人たちについていうと、全員の遺体がどこにあるか分かっているわけではないということなので、土壇場でギクシャクして事が進まないことも考えられるかもしれません。
今の段階ではハマスもイスラエルも第1段階では合意と言ってますが、様子を見るしかないですね。
第1段階の“その後”は
宮司愛海キャスター:
これまでなかなかうまくいかなかったというところも不安な材料ではありますけれども、今回の合意はあくまで第1段階ということで、今後次のようなことが課題になってくるわけです。
例えば、ハマスの武装解除、ガザ地区の非軍事化といったハードルもあるわけですが、こういったことが実現していくと思いますか?

SPキャスター・柳澤秀夫氏:
ハマスが武装解除するなんてことはありえません。
それから、この後にガザの暫定的な統治になるんですが、そこからハマスを排除することになってるんです。
これについてハマスは何も明言してませんから、この後、仮に第1段階で事が進んでもその後については見通せません。
しかも、ハマスが人質を解放すればカードなくなっちゃうんです、完全に。
で、逆に人質全員解放されたら、イスラエル側はもう一度攻撃を再開して、色々こじつけて徹底的にガザを叩くということにもつながりかねません。
やっぱり先行きについて明るい見通しを持てません。

青井実キャスター:
ノーベル平和賞の発表前にということで、スケジュールはトランプ大統領が計算していたと読めるんでしょうか。
SPキャスター・柳澤秀夫氏:
なんとなく見えないこともないんですよね。まあ、あのガザの状況については一定の、トランプ大統領は努力をしてたんだってことを示したかったってことが背景にあると思います。

青井実キャスター:
その発言ですよね。「賞を取ることではなく命を救うことだ」という言葉を信じていきたいと思いますが、トランプ大統領は11日にも中東訪問する予定だということ です。
(「イット!」10月9日放送より)