福島テレビの気象予報士・清野貴大が、あらゆる角度から天気にまつわるアレコレを楽しく深く解説。今回は、知り合いの気象予報士がビールをつくっているということでブルワリーへ。そこには気象予報士ならではの視点でつくられる個性豊かなクラフトビールがあった。
二刀流の大谷さん
JR新白河駅から車で約7分。福島県西郷村にあるのが、小さなビール醸造所「ハイランドポートブルワリー」。ここを始めたのが気象予報士とビール醸造家の二刀流・大谷辰夫さん(64)。

大谷さんの生まれは、千葉県我孫子市。大学卒業後、半導体のエンジニアとなり西郷村へ。そのエンジニア時代に転機が訪れたという。「たまたま出張でアメリカに行ったときに、いろんな種類のビールがあるというのを知ったのがきっかけ」と大谷さんは語る。
日本でも飲みたい!
日本のビールのほとんどは、スッキリした飲みやすさが特徴のラガー。一方、大谷さんがアメリカで飲んだエールタイプのビールは、様々な香りが楽しめるのが特徴だ。

「日本に戻ってきても飲みたいので、自分で作った」という大谷さん。
2018年に早めの定年退職を選び、ビール造りを本格的に始めた。自宅の倉庫を改装し、約500万円をかけてビール醸造所=ブルワリーをつくった。
登山をするように味わう?
西郷村のおいしい水と、厳選した麦芽やホップでイチからビールを仕込み、瓶詰めまで一人で作業を行う。
大谷さんが作る定番のビールは6種類で、周辺の地名や山の名前が付けられている。商品名は、使うホップの量と標高の高さが比例しているそうだ。

オススメの飲み方は、ホップの少ない順・標高の低い順から高い順に登山をするように飲むと、それぞれの味を楽しめるという。
一番標高の低い「白河ヴァイツェン」は、苦みが少なくて飲みやすい。

また「赤面山スタウト」は黒ビール。「ローストした麦芽が入っていますので、それほど苦くない。ある程度丸みを帯びた苦み。一日の終わりにチビチビ飲むのがオススメ」と大谷さんはいう。そして最高峰「三本槍岳IPA」は鼻に抜けるフルーティな香りが特徴だ。
気象予報士ならでは
熱意はビールだけじゃない。ビール造りを始める約10年前に、気象予報士の資格を取得していた大谷さん。「もともと空が好きで、その資格ということで始めた。また子どもが高校受験で受験勉強していたので、なにかやってみようかなというのがきっかけ」という。
子どもが高校に合格した後も勉強を続け、3回目の受験で資格を取得。ビール造りと並行して東京・虎ノ門にある気象庁・気象科学館で月に数回、来場者に気象の解説を行っている。

気象とビールが融合した商品も。所属する会のイベントでは気象予報士限定のビールをつくり振る舞っている。
気象の本と醸造の本が並ぶ大谷さんの書斎。まさに二刀流だが、気象と醸造にはつながりがあるという。「季節や天気で、気温・湿度が変わる。その辺の関連性も考えながら仕込むことができている」と語る。

月に一回、ハイランドポートブルワリーではビールを楽しめるイベント「クラフトビールの会」を開催。地元の人にクラフトビールを知ってもらおうと、数年前に始めたイベントで、今では西郷村をはじめ遠くは首都圏からビール好きが集うという。次回のビールの会は10月18日(土)に開催される。

またビールは「ハイランドポートブルワリー」や「まるごと西郷館」、福島県白河市の「いせや君島商店」で購入できる。
(福島テレビ)