南国・鹿児島で毎年春、大学や社会人、プロも参加する野球の交流戦「薩摩おいどんリーグ」が開かれている。3回目となる2025年の大会の記者発表が鹿児島市で行われ、実行委員長は「今年も多くの熱戦が繰り広げられるので熱い声援を!」と呼びかけた。

今年で3回目 54チームが参加予定

この交流戦シリーズは野球の技術向上と普及を目的に2023年、「薩摩おいどんカップ」として始まった。3回目の2025年、「薩摩おいどんリーグ」と改称したことについて、小薗健一実行委員長は「優勝を争う大会という誤解を招かないため」と説明した。

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参加を予定しているのは、1月10日時点で54チームだ。アマチュアでは、2024年の日本選手権を制したトヨタ自動車や、パナソニック、Honda、東京ガス、JR東日本など。大学では東京六大学の慶應義塾大学や立教大学、東都大学からは中央大学などで、ほとんどのチームが鹿児島県内でキャンプを行っている。さらに韓国のプロ2チームも参加する予定だ。もちろん、鹿児島県内の大学や社会人の計6チームも参戦する。

大会“応援団長”は里崎智也氏

記者会見では、現役時代ロッテで鹿児島キャンプを経験した大会の“応援団長”、里崎智也さんが映像で登場。

元プロ野球選手・里崎智也さんも応援
元プロ野球選手・里崎智也さんも応援

「未来のスター選手が生まれるかもしれません。野球ファンもそうでない人も楽しめます」と魅力をアピールした。3月1日には鹿児島市内で里崎さんの講演会も予定されている。

トヨタ自動車・藤原航平監督
トヨタ自動車・藤原航平監督

2年ぶりの参加となるトヨタ自動車の藤原航平監督は、この大会について「大学でも社会人でも、すごく良い経験になる場」だという。愛知・豊田市にあるトヨタ自動車硬式野球部にとって、関東など他地区のチームとは試合したくてもスケジュールがなかなか合わない。こうした中、色々なチームと対戦できるこの大会は、さまざまピッチャーも見られるし、バッターの特色も分かるので「レベルアップにつながると感じる」と話した。

慶應義塾大学・堀井哲也監督
慶應義塾大学・堀井哲也監督

慶應義塾大学の堀井哲也監督も、「公式戦さながらの緊張感がよい経験になっている」と話す。
2023年、中央大学との試合では両校の卒業生が多く訪れた。2024年、JR東日本との試合はあいにくの雨。それでも地元高校生が吹奏楽で応援し、観客も帰ることなく観戦した。さらに枕崎市での青山学院大学との試合では、大漁旗を掲げての応援が。こうした雰囲気が公式戦のような緊張感やプレッシャーを生み、それが鹿児島県内各地で展開されていることに、堀井監督は「すごい機会だと思う」と驚く。

野球普及へ 経済効果以外の利点も

もちろん鹿児島のチームにとってもこの上ない刺激となる。地元の社会人クラブチーム・鹿児島ドリームウェーブは、全日本クラブ選手権日本一を目標に掲げる。秦奨輔キャプテンは「目標のクラブチーム日本一に向け、県外のチームと互角に戦えるよう頑張りたい」と決意を語った。

地元のシンクタンクは前回、2024年の大会が約7億3000万円の経済効果をもたらしたと分析する。しかし、元高校教師で高校野球の指導者としても実績のある小薗実行委員長は、経済効果もさることながら大会を通じて野球への関心が高まっているのを感じていた。
場内アナウンス、いわゆる「ウグイス嬢」のボランティアを募集したところ、神奈川から「娘がやっているのを見て、実は私もやりたかった」と親子で手を挙げた人がいて感動したという。「そういうことが野球普及の1つと考えれば、おいどんリーグの役割は大きいと思うし、もっといろんな可能性が随所にありそれをつぶさに拾っていきたい」と今後について語った。

「薩摩おいどんリーグ2025」は、2月22日から3月9日まで鹿児島市や薩摩川内市、阿久根市など鹿児島県内8球場で行われる。期間中、110を超える試合が予定されていて、対戦カードは今後大会ホームページで発表される。全試合観戦無料で、期間中、親子で参加できるグローブ作り体験のイベントも予定されている。

「おいどんリーグを春の風物詩に」、国内トップクラスの熱戦が今から楽しみだ。

(鹿児島テレビ)

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