富山県は「可処分所得」や「持ち家率」が全国で比べて高いことから窺えるように、客観的な経済指標では全国トップクラスの豊かな県だ。そうしたなか県は近年、“ウェルビーイング”を成長戦略の中心に位置付けている。「一人ひとりが、様々な人や社会との“つながり”の中で、日々、“自分らしく”生きていることに満足でき、心豊かに、幸せをずっと実感できる」ウェルビーイングの先進地域を標榜している。

しかし今年2月、衝撃的なデータが発表された。ブランド総合研究所が発表した「幸福度調査2026」では、富山は前回の39位から全国最下位の47位に転落した。富山県民は一体なぜ「幸せ」と感じていないのだろうか―。
幸福度調査2026 富山は全国最下位に転落、北陸の他県は上位
幸福度調査は、ブランド総合研究所が「世界幸福度」の設問を参考に、「あなたは幸せですか」という設問に対し、「とても幸せ」、「少し幸せ」、「どちらでもない」、「あまり幸せではない」、「全く幸せではない」の5段階の選択肢から回答者に主観で選んでもらい調査を行っている。
調査によると、幸福度が最も高いのは沖縄県で、5年連続1位となった。2位は佐賀県、3位は愛知県となっている。
北陸各県の結果を見てみると、隣の石川県は前年の16位からアップして4位、福井県は前年の5位から下がったものの8位と上位にランクインしている。ほかの北陸の2県は、どちらも10位以内に入っているが、富山県は前回の39位からさらに順位を下げ、最下位の47位に転落した。
かつて「幸福県」だと思われていた富山県 一体なぜ最下位に?

一方、こんな結果もある。一般財団法人日本総合研究所が2012年から隔年で発表している「全47都道府県幸福度ランキング」では、富山県は2020年に2位、2022年には4位と上位にランクインしてきた。
しかし、今回の幸福度調査では、まさかの最下位。これには統計上のからくりがある。一般財団法人日本総合研究所の調査では、「一人あたりの県民所得」や「持ち家比率」「大学進学率」など、客観的な統計データに基づく指標を比較して算出しているのに対し、今回の調査では個人が“幸せと感じているかどうか”主観的な評価を基に算出している。

「幸せ」を客観的な幸福度で考えるのか、主観的な幸福度で考えるのか。人それぞれ価値観や考え方が異なる部分であるが、主観で幸せだと感じていない県民が多いという現状は課題である。
「ウェルビーイング」先進地域を目指す富山県の現状

富山県は2022年2月に富山県成長戦略を策定し、「ウェルビーイング」を成長戦略の中心に位置付けている。この富山県成長戦略では、「ウェルビーイング」を「自分らしく幸せに生きられること」や「収入や健康といった外形的な価値だけでなく、キャリアなど社会的な立場、周囲の人間関係や地域社会とのつながりなども含めて自分らしくいきいきと生きられること」と説明している。
県は、実感としての幸せ、心の豊かさなどを表す言葉として「ウェルビーイング」を掲げており、「一人一人の気持ちや実感を大切にする概念」と表現している。
こうした「ウェルビーイング」を推進するなかで、県民一人一人の“主観的な幸福度”を高めることは必要不可欠と言えるのではないか。
「幸福度調査」の結果どう捉えるべき?

統計結果はあくまで一つのデータにすぎない。「幸せ」と感じる価値観は人それぞれで、その基準や幸せになるための方法は様々だろう。
しかし、富山県全体で見たときに多くの県民が「幸せ」と感じられていないという現状は看過できるものではない。
なぜ、客観的には豊かな富山県民の「主観的な幸福度」が全国で最も低いのか、その原因を自治体も私たちも立ち止まって考える必要があるのではないだろうか。
(富山テレビ放送)
