広島・廿日市市は、2024年1年間に宮島を訪れた人の数が485万人を超えて過去最多になったと発表した。「過去最多」の次に目指すものは何か。課題である“慢性的な渋滞緩和”に向けた動きにも注目が集まる。

“紅葉の見ごろ”長期化もプラス要因

「過去最高を記録した要因の多くは、インバウンド旅行客の影響が大きかったんだろうと思う。これからは、しっかりと地元の経済に貢献してもらえるような質も追いかけていく必要がある」

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1月15日の会見で廿日市市の松本太郎市長はこのように述べ、2024年1年間の宮島の来島者が485万4369人で、過去最多だった2019年の465万7343人を更新したと発表。

円安の影響による外国人観光客の増加や、紅葉の見ごろが例年よりも長引いたことを主な要因に挙げた。

1996年に「厳島神社」が世界遺産に登録されて以降、宮島の来島者数は右肩上がりに増えている。NHKの大河ドラマ「平清盛」が放送された2012年には来島者数が初めて400万人を超えた。コロナ禍には200万人前後まで落ち込んだが、2023年に開催されたG7広島サミットの効果で一気に回復した。

渋滞緩和の社会実験、その効果は?

一方、被爆80年を迎える2025年は外国人観光客がさらに増えることが予想される。

国内外からの観光客でにぎわう宮島の表参道商店街
国内外からの観光客でにぎわう宮島の表参道商店街

松本市長は「おもてなしの環境を整え、オーバーツーリズムの状況をいかに発生させないか。渋滞でかなり地元の人に迷惑をかけているので、そういうことがないよう対応していきたい」と話す。

宮島口に向けて慢性的に渋滞が発生する国道2号
宮島口に向けて慢性的に渋滞が発生する国道2号

廿日市市は2024年11月、宮島口周辺の慢性的な渋滞を緩和する社会実験を実施。会見で、その進捗が報告された。この実験は国道2号の宮島口を通過する車を広島岩国道路へ迂回させる試みで、宮島口駅前交差点では前の年に比べると通行量が最大400台減ったほか、阿品台東橋交差点でも約1000台減少したということだ。

廿日市市は、今後、すべての結果がそろい次第、社会実験の効果検証に入るとしている。

国内外から観光客を呼び込む「観光立国」の方針を掲げる日本政府。インバウンドの客数は今後も増える勢いだ。その影響を大きく受ける宮島では、客数だけでなく「地域への経済効果」や「分散によるオーバーツーリズム対策」など、まさに“量より質”の転換期を迎えている。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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