自宅で妻を殺害した罪に問われている元長野県議会議員・丸山大輔被告の裁判員裁判。11月26日、第18回公判が長野地裁(長野市)で開かれ、検察側は「意中の女性と交際するため、何の落ち度もない妻を殺害した」「計画的な犯行、動機も悪質」などと主張し、被告に「懲役20年」を求刑した。
初公判で被告は「無罪」主張
元長野県議の丸山大輔被告(50)。2021年9月、長野県塩尻市の自宅兼酒蔵で妻・希美さん(当時47)の首を何らかの方法で圧迫して殺害した罪に問われている。

10月16日の初公判で丸山被告は、「妻を殺害したのは私ではありません」と起訴内容を否認し、無罪を主張した。
「動機」など4つのテーマを審理
裁判はこれまで「所在・移動の状況」「殺害の動機」「現場の状況と痕跡」「事件前後の被告の言動」の4つのテーマに分けて審理が行われてきた。
1つ目の「被告の所在・移動の状況」では、被告の車が映ったとされる防犯カメラ映像が焦点となり、検察側は「被告の車である」と主張、弁護側は「ナンバーが読み取れず、断定できない」と反論した。

2つ目の「殺害の動機」では、検察側は不倫交際や妻の実家からの借金などを理由に「妻を殺害するしかない状況だった」と主張。一方、弁護側は「当時は夫婦間にトラブルはなく、動機はない」と主張した。

3つ目の「現場の状況と痕跡」では、検察側が「物取り犯の犯行に見せかけた被告人の犯行」、弁護側は「第三者の犯行と考えるのが自然」と主張した。

4つ目の「事件前後の被告の言動」。被告は事件前夜、長野市の議員会館で開かれた同僚議員との二次会を中座し、自室に戻って、パソコンを起動してUSBを差し込みながら、7時間半にわたり操作しなかったとされている。
検察側は「原稿作成をしていたように見せかけるアリバイ工作だった」と主張。一方、弁護側は「パソコンは立ち上げたが原稿の構想がまとまり、就寝した。アリバイ工作ではない」と否定した。

これまでの審理では21人の証人尋問が行われ、不倫関係にあった女性は「事件後、被害者家族として見ていた。今となっては本当の丸山さんがわからなくなってしまったところはあると思います」と法廷で語った。
被告人質問では
11月19日、20日は被告人質問が行われ、検察側は、犯行に及ぶため長野市の議員会館から塩尻市の自宅まで車で往復したと主張したが、丸山被告は「往復したことはありません」と否定した。

また、アリバイ工作とされるパソコンによる原稿作成については供述が曖昧だったこと、妻の保険金などで借金を返済したことなどが明らかになった。
検察側は被告に「懲役20年」求刑
11月26日、第18回公判が長野地裁で開かれ、検察側は丸山被告に「懲役20年」を求刑した。
検察側は犯行現場の状況について「犯人は手提げ金庫の場所を知っていて、被害者に警戒されず近づけるものは、被告しかいない」。
被告の行動については、「二次会を途中でぬけて、9月28日の夜、車で外出し、9月29日に車で議員会館に戻った。約7時間半原稿を作成しなかった」。

また、事件前後の行動については、「被告は離婚を切り出せる状況になく、経済的自由を持っていなかった」。
これらのことから、「被告が犯人でないとするならば、合理的説明がつかない。被告が犯人でないことはあり得ない」などと主張した。
検察側「計画的で悪質」と主張
また、検察側は「意中の女性と交際するため、何の落ち度もない妻を殺害した」「計画的な犯行、対応動機も悪質」「犯行で金銭的な利益を得ている」「反省の気持ちはみじんもない」「悪質さも際立つ」などと主張した。
12月23日に判決が言い渡されます。
(長野放送)