食の雑誌「dancyu」の元編集長・植野広生さんが求め続ける、ずっと食べ続けたい“日本一ふつうで美味しい”レシピ。
植野さんが紹介するのは「ラザニア」。
東京・墨田区両国にある、個性豊かな洋風総菜とピザが楽しめる「デリカテッセン Anyway!」を訪れ、冬のホームパーティーの主役にもなる肉と野菜の旨みが詰まった一品を紹介。とろとろ熱々のミートソースとホワイトソースの極意を学ぶ。
両国のちょっと雰囲気の違う店
「デリカテッセン Anyway!」があるのは、東京・両国。
JR総武線と都営大江戸線が乗り入れる両国駅は、江戸時代から続く歴史と文化が色濃く残る街だ。
この記事の画像(10枚)「両国はいろいろなお店があって。ビール好きに知らない人がいないくらいの『ポパイ』という、世界のさまざまなビールが揃っているお店もあります」と植野さん。
続けて、「この一角に相撲の街とはちょっと違う良い雰囲気の」と話し、お店へと入っていく。
地元で愛される洋風総菜店
都営大江戸線、両国駅から徒歩6分の場所にある、緑に囲まれた特徴的な外観の「デリカテッセン Anyway!」。
イートインも可能な店内には、洋風の総菜やピザに自家製のパンなどが並ぶ。デリバリーでも注文可能な野菜がたっぷり入ったサラダは、見た目も美しく食べ応え満点で人気のメニューだ。
店主の技と思いがつまった総菜店として、地元の人に支持されている。
調理を担当するのがイタリアで腕を磨いた、店主の茂木啓輔さん、販売を担当する妻の千絵さんと、夫婦二人三脚で営んでいる。
お客さんにおすすめを聞くと「タコライス」や「ハニーマスタードチキンサラダ」「紫キャベツとクルミのサラダ」といったメニューが挙がった。
個性豊かな洋風総菜で、食卓に新しい歓びを添える、そんな店だ。
2人が出会った思い出のピザをメインに
2006年、今と同じ場所でイタリア料理店「茂ル木」を開店した茂木さん。その後、2011年にベーカリーに業態を変え、2021年に現在のデリカテッセンのスタイルになった。
当初、名物のピザは提供していなかったというが、ピザは夫婦二人をつなぐものでもあるそうだ。
「我々が出会ったのがピザ店なんです。そういった思い出もあるので、ピザをメインにしようかと」と茂木さん。
植野さんが「ピザのお店で出会った、ということは、同じお店で働いていた?」と尋ねると、茂木さんはうなずく。
千絵さんは「アルバイトで働いていて、彼はもう厨房で働いていて、ちょこっと一緒に働いていました」と話した。茂木さんの「シフトは2回しか入っていなかった」という話に、千絵さんは「だから良かった」と笑った。
普段のおかずに少しの彩りと華やかさを
ピザの仕込み中に「なぜ、ニューヨークスタイルのピザをやろうと思ったんですか?」と尋ねると、「大きいピザをみんなで食べると楽しいし、お客さんに喜んでもらいたくて始めました。誕生日やイベントごとで注文が入るので嬉しいです」と話すように、ピザには茂木さんの思いも込められている。
さらに、家庭で食べる姿をイメージしながら作っているという茂木さんには、手作りの温もりが伝わる総菜にも込める思いがある。
「家庭ではなかなか時間・手間がかかるようなものをウチで作って、“普段のおかずの一つ”として、彩りや華やかさなどをちょっとでもお手伝いできたらいいなと思って。丁寧に自分の子供に作るような感覚で作っています。リピーターの方が多いので、“美味しかった”と思ってもらえているので感謝しています」
本日のお目当て、デリカテッセン Anyway!の「ラザニア」。
一口食べた植野さんは「ホワイトソースとミートソースが食べてるうちに融合していく」と感動していた。
デリカテッセン Anyway!「ラザニア」のレシピを紹介する。