住宅用消火器は1本を、1回で使い切る形になるという。そのため、いざ使うとなったら完璧に消火させたいところだが、薬剤によって火災ごとの“得意・不得意”はあるのだろうか?

住宅で発生する火災(提供:日本消火器工業会)
住宅で発生する火災(提供:日本消火器工業会)

住宅で発生する火災は主に4つに区分できるそう。木材や紙類などの可燃物による「普通火災」、料理中などに起こる「天ぷら油火災」、灯油漏れなどの「ストーブ火災」、電気や電気製品に関わる「電気火災」だ。

「住宅用消火器は(薬剤が)強化液であっても粉末であっても、4つの区分の火災、全てに適用可能です」と大久保さん。ただ、使い分けるとより効果的な消火が期待できるともいう。

選ぶポイントは“第一着火物”

大久保さんによると、普通火災では、強化液も粉末も同等の消火性能が期待できる。

天ぷら油火災では、粉末でも炎を抑えることはできるが、油自体が熱を持つので再燃する可能性があるという。そのため内部まで浸透し、消火・冷却する強化液の方が効果的なのだそう。

一方、ストーブ火災では粉末の方が適しているという。理由は、ストーブから灯油が広範囲に漏れてしまった場合、広い範囲を素早く消火する必要があるためだ。

消火器の使用イメージ(提供:日本消火器工業会)
消火器の使用イメージ(提供:日本消火器工業会)

ただし、天ぷら油でなくとも、燃えた物によっては再燃する可能性はゼロとは言い切れない。木材でも内部まで燃えたら、消火した後に再燃することも考えられる。

大久保さんは薬剤選びに迷うなら、最初に着火する“第一着火物”がポイントともいう。

「『どういう物で、火災になりそうか?』を考えて、『粉末がいいのか?強化液がいいのか?』を個人が選択していただければ」

その上で「場所ごとに複数の消火器を備えた方がより良いかと思いますね」とのことだ。