学歴詐称問題に揺れる伊東市の田久保眞紀 市長は7月29日で就任からちょうど2カ月を迎えた。「伊東の革命」を標榜し初当選した田久保市長だが、一連の問題により伊東市政は改革どころか停滞感だけが増している。
市長選では「伊東の革命」を標榜
5月25日に行われた伊東市長選で現職との一騎打ちを制して初当選した田久保眞紀 市長。

選挙戦の演説では「伊東の革命」を標榜し、5月29日に初登庁した際には職員を前に「これは1つの機会であり、チャンスであると思う。ここでしっかり市民と一緒に新しい伊東の未来を作っていければいい」と声高らかに訓示した。
学歴詐称に端を発し百条委を設置
ところが、待っていたのは新しい伊東の未来ではなく、停滞する伊東の未来だ。
原因は田久保市長の学歴詐称問題。
田久保市長は選挙戦を前に報道機関から依頼された経歴調査票や市の広報誌に「東洋大学法学部卒業」と記載していたものの、実際には除籍となっていたことが明らかに。
このため、市議会は田久保市長に対して辞職を勧告すると共に学歴記載に関わる事務手続きについて調べる百条委員会を立ち上げ、現在も調査が続いている。
ただ、田久保市長は百条委員会から一部の職員や正副議長に見せた“卒業証書”の提出を求められるも拒絶したほか、委員会での証言も拒んだ。
辞意表明もトーンダウン
また、除籍が判明したことを受け、田久保市長は辞意を表明し、その後、7月中にも辞職する考えを示したが、ここに来てトーンダウン。

7月も残り3日となった29日現在、辞職に関わる手続きはとられておらず、28日の定例記者会見では「31日に開く会見で進退を明らかにする」と繰り返すばかりで、辞職の2文字は頑なに口にしなかった。
苦情の電話が殺到…職員は疲弊
一方で、一連の騒動により被害を受けているのが市職員だ。
田久保市長が除籍だった事実を明らかにした7月2日以降、市役所には苦情の電話やメールが殺到していて、対応に忙殺される事態となっている。
市職員の労働組合が実施したアンケートでは実質2日間で「毎日全国から苦情やお叱りの電話を受け、業務に支障を来しており、我々職員にはどうにもできないことで対応を強いられることに大変迷惑している」「毎日毎日、朝8時半から午後5時15分まで市長に関する電話を取り続けている。ピーク時はトイレも行けず、昼休みも電話を取りながらの食事だった」「長時間にわたり職員が答えようのない市長の考えについても質問され続け精神的にまいっている」といった悲痛な叫びが延べ300件以上寄せられた。

振り返ってみれば就任初日の職員への訓示で「これから私のチームとして、私がチームの一員として皆さんに信頼してもらえる存在になれるように誠心誠意努力していきたい。意見をどんどん行ってもらい、みんなで作っていく役所にしていきたい」とも述べていた田久保市長。
だが、職員からの信頼は地に堕ちていて、実際に上記のアンケートでは「市民・議会・職員と信頼関係を築こうという気持ちが見えない」「保身しか考えていないように見える」という辛辣な声も出ている。
自らを仕事人間と評するも…
さらに就任インタビューでは自らについて「根っからの仕事人間」と評した上で、「まずきちんと仕事を把握してパフォーマンスの良い仕事をしていきたいということで頭がいっぱいの状態」と話していたが、3連休が明けた7月22日の在庁時間は2時間55分、23日は終日登庁せず、24日は5時間35分、25日は6時間15分だった。
田久保市長の就任から2カ月。
混迷は深まるばかりとなっている。
(テレビ静岡)