2022年、大分・別府市で大学生2人が死傷したひき逃げ事件について、「Mr.サンデー」は、重要指名手配となっている八田與一容疑者の関係者約20人を取材し、新証言や直筆のメモなどを独自入手した。
制限速度40キロの道を100キロ近くで走行し…
八田與一(はった・よいち)容疑者(28)。
日本の犯罪史上初めて、「道路交通法違反ひき逃げの疑い」で「重要指名手配」に指定され、全国の警察が血眼になって追う男だ。
この記事の画像(42枚)八田容疑者の車は、制限速度が時速40キロの道を100キロ近くで走行したとみられ、現場付近にはブレーキ痕や、バイクを避けようとした形跡もない。
亡くなった大学生の父親「これは殺人であって、だだのひき逃げじゃない。凶器を車に変えただけで、これは完全な殺人だと、それはずっと主張してきました」
事件後、現場から逃走した八田容疑者。
その行方は、今日に至るまで、分かっていない…。
Mr.サンデーは、親友や元交際相手など、関係者約20人を取材し、新証言や直筆のメモなどを独自入手。
八田容疑者は一体、どこへ消えたのか…?
これは、Mr.サンデーが入手した事件発生直後の現場映像。
道路中央には、被害者のバイクとその奥に、八田容疑者の軽自動車が写っている。車内には、財布やスマホなどがそのまま残されていた。
これは、事件発生から約5分後の防犯カメラ映像。
八田容疑者は、「はだし」で現場を後にし、また別の防犯カメラには走り去る姿も捉えられた。
現場から約2キロ離れた海沿いで、当時着ていたTシャツが脱ぎ捨てられているのが発見され、これを最後に足取りは途絶えている。
警察は、2024年6月、現在の風貌を想定して描いた、似顔絵6枚を公開。
最大800万円の懸賞金を用意したが、いまだ逮捕には至っていない。
一体、今どこに潜伏しているのか?そして、八田與一とは、どんな人物なのか?
大学時代の知人「あいつならやりかねない」
我々がまず向かったのは、八田容疑者が小・中学生時代を過ごした千葉県。
すると、当時を知る友人たちは、みな一様に…。
幼少期を知る人「優しいっていうのが本当に一番に来るイメージ。意地悪したりとかそういうこともなかったと思うし…」
中学時代の同級生 「中学時代はそんなに目立つ感じじゃなかったので。どっちかというと静かな感じ…」
中学時代はサッカー部に所属し、物静かで優しかったと言う。
しかし、大学時代を知る友人の印象は、少し違っていた
知人Cさん 「普段は普通の人なんですけど、自分に気にくわないことが起きたりすると気性が荒くなったりとか。(ひき逃げ事件は)驚きはしましたけど、あいつならやりかねないって」
「あいつならやりかねない」…なぜなら、この友人はこんな話を聞かされていたからだ…。
知人Cさん「八田容疑者の友人が交通事故に遭って、(お金)もらったっていう話を八田容疑者にしたら、八田容疑者は『あっ お金もらえるんだ』って。(その後)『自分も車に当たったんだよね』『お金もらえたんだ』みたいな話はしてましたね。」
友人から事故の話を聞くなり、“当たり屋のような行為”でお金をだまし取っていたという八田容疑者。
さらに、私たちの取材で、ある人物が証言したのは、事件を思わせる不穏な言葉。
知人 「人ともめた時の対処法をどうするかみたいな、そういう話になったんですね。“車でひいたらいいんじゃない”みたいな。八田容疑者が“そんな手があるんや”みたいな。事件の内容を見たら『うわぁ』と思って、あの時のあの話やんみたいな。」
「人を殺しても凶器が車なら事故扱い」と聞き、まさか、それを実行したというのだろうか…?
にわかには信じ難いが、確かに、かつての八田容疑者は社会制度を悪用して生きる術を、得意気に語っている。
八田容疑者 「どうやってこれから生きてくかって言ったら、国の国家プロジェクトに携わろうかなと思っているんですよ。どういうのものだと思いますか?」
八田容疑者「正解はですね、生活保護っていうシステムがあるんですよ。介護料金とか全部タダになるんですよ、病院もね…」
「リゾートバイトで全国各地を転々と…」
では、実際に社会に出た八田容疑者はどんな仕事に就いていたのか…?
教えてくれたのは、かつて、岩手県の安比高原で一緒に働いていたというY氏だ。
Y氏 「(八田容疑者は)リゾートバイトをして全国各地を転々としている。沖縄の方も行ったという話は聞いた」
岩手、栃木、沖縄など、自然豊かなリゾート地を転々としていたという八田容疑者。
その印象は…
Y氏 「今回の事件があったようなことをする人物には全く見えなかった。一歩引いたところでいるみたいな感じですね。引っ込み思案な感じで、あんまり自分からグイグイいくような感じではない」
その雰囲気が、この動画にも写っているという…
「カンパイ!」
確かに、盛り上がるバイト仲間からは一歩引き、一人静かに酒を飲んでいるように見える。
八田 「うまいね、おいしいね、お酒はやっぱりね、みんなで飲まないとね」
マッチングアプリで出会い交際していた元カノ
一方で、親しい人物に見せていたのは、全く違う一面だった。
元交際相手は、八田容疑者とマッチングアプリで出会い、4カ月ほど交際。同棲寸前まで行っていたという女性。
彼女が、よく覚えていたのは…。
元交際相手 「美意識が出会った時からあって、ファンデーションしたりとか、眉毛描いたりとか、リップを塗ったりとか」
そのこだわりは、時に…。
元交際相手「結構時間にルーズだったりしたんで。7時半とか集合だったんですけど、9時になったら行くわみたいな、しかもメイクをしてくるんですよ…」
これが、その時の実際のやりとり。
約束の時間をすぎ、「何時ごろ着きそう?」と送った彼女に対し…
八田容疑者のLINE「今からメイクして髪セットするから9時とかになっちゃいそう」
と、まるで悪びれない返信が。さらに、よく覚えていたのが…
元交際相手「普段は私の前では声を荒らげたりはなかったんですけど、車に乗ると口悪くなるみたいな…。急に『何でだよ』とか『早く進めよ』みたいな言っていたので、気性は荒くなっていましたね。」
これは、事件の数日前に撮られた動画。車を運転する八田容疑者は…。
八田容疑者「この前も言ったよね 空き缶は分けて捨てること」
上半身裸で、言葉使いも荒い。
だが、リゾートバイトで知り合い、車好きで意気投合したというI氏の印象は、全く違う。
友人I氏 「(八田容疑者は)車に乗ると性格が変わって、キレやすいとか、私に対して、そういうことは一切なくて、キレたことも怒ったことも全くありませんでした…」
そう言って、見せてくれた動画には、鼻唄を歌い、機嫌の良さそうな姿が…。
事件の軽自動車を八田容疑者に売った親友M氏
さらに、私たちが辿り着いたのは、事件の直前まで、八田容疑者と会っていたという親友。
親友M氏 「事件の10日前くらいに、最後に会った友人ということで警察の方が3回くらいは来てお話ししている」
今回、メディアに対し初めて取材に答えるというM氏は、驚いたことに、事件を起こした軽自動車を八田容疑者に売った人物でもあった。
親友M氏 「普通車から軽自動車に乗り換えたいんだよねっていう話で、僕もその時、車を買ったり売ったりということをしていたので、八田容疑者に売るという形になった」
それほど関係が深かったM氏が語る、八田容疑者の印象は…。
親友M氏「皆さんが(普通なら)嫌だなって思うところは、全然許したり、怒ったりする様子も全く見られないんですけど、逆に僕からしたら、そのくらいは全然大丈夫だよねってところで、すごく怒ったりっていうのは結構あった」
その時々で、どこに地雷があるか分からない性格。そう語ったM氏が見せてくれたのは…
親友M氏 「これは(職場を)辞めた時の退職届みたいなやつ」
直筆の退職願い。この紙を一枚だけ残し、大分に向かったという。八田容疑者は、あの事件当日も…。
親友M氏「(Aさんともめ)車に戻って帰ろうってなった時に、よくよく考えたら、やっぱりイライラしてきちゃったみたいな形で、あり得るかなと思う…」
一時の感情で、バイクに乗るAさんに突っ込んだのか…?
かつて、指名手配犯を追い詰めてきた元徳島県警捜査一課警部の秋山博康氏はこう語る。
秋山博康氏「自分が特定される車を放置して逃げる。しかも、はだしで逃げる。これって、絶対に逃げ通してやるっていう被疑者の心理なんですよ。あの逃げ方っていうのは、絶対に生き延びて、どこかで潜伏して、生き延びるっていう証しですね」
いずれにせよ、もう、帰ってくることのないAさん。
その友人は、悔しさを、こう語った。
被害者2人の友人 「(Aさんは)経営者を目指して努力を続けていた子だったので、今 彼がいたら、どんなことをしているんだろうってすごく気になるし、その姿を見られない悔しさがすごい大きい…」
共に、経営者を目指していた友人は、決して既読がつかないAさんのLINEに今も語りかけている。
被害者2人の友人のLINE「やあ、共同事業が決まりそうだよ…軸をしっかりしなきゃいけないね」
そして、八田容疑者本人を誰より知る、あの2人は…。
親友M氏 「自分でしっかり出てきて、罪をしっかり償った上で、また一から人生をやり直してほしい」
元カ交際相手「本当に現実から目をそらさないでほしい。ちゃんと自分の起こしたことに向き合って、逃げないで出頭してほしい」
いま、この時も、あなたのソバで息を潜めているかもしれない八田與一容疑者。もし、心当たりがあるのなら、躊躇せず、110番通報してほしい。
(「Mr.サンデー」10月13日放送より)
※情報提供は「大分県別府警察署 0977ー21-2131」まで