「栄養が足りていないと、成長に必要な栄養素をスポーツに使ってしまうことになります。すると、骨の成長などが遅くなり本当はもっと身長が伸びるはずなのに伸びなくなるといったことが起こってきます。上を目指せば目指すほど、それだけ動いたうえで体を大きく成長させなければなりません。それを加味した食事を提供する必要があるのです」

女子バレーボールのJTでは小さなおにぎりの補食が人気(画像:吉谷佳代さん)
女子バレーボールのJTでは小さなおにぎりの補食が人気(画像:吉谷佳代さん)

そこで親ができる工夫としては、空いた時間に素早く手軽に食べられる補食をたくさん用意しておくことだという。

「例えば、ひと口ふた口で食べられるような50gくらいのおにぎりをたくさん用意しておいて、隙間時間に食べられるようにしておくのもいいでしょう。食事の回数は5回でも10回になっても構いません。食べられるのも実力のうちです」

野菜嫌いを克服するには?

受験・スポーツともに、親が食事でサポートできるポイントはわかった。

ただ、バランスのいい食事を作っても、「子供が野菜嫌いで食べてくれない」と悩んでいる人も多いだろう。そこで最後に、吉谷さん流の「野菜嫌いを克服する方法」について紹介しよう。

吉谷さんは2人のお子さんがいるが、最初から全ての野菜を食べられるわけではなかった。そこで、次の3つの方法を駆使した。

小さなスプーンに載せる味見作戦(画像:吉谷佳代さん)
小さなスプーンに載せる味見作戦(画像:吉谷佳代さん)

(1)気づかないうちに食べさせる作戦
「細かく刻んでカレーやハンバーグに入れてしまうという王道の方法も、もちろん有効です」

(2)味見作戦
「子供って、お腹が減っているタイミングでキッチンからいい匂いがしてくると、『何作ってるのかな?』と覗きに来るんです。その時に、野菜の胡麻和えのような、子供が苦手なものをスプーンの先に載るくらい少量取り分けて味見をさせます。すると、『おいしい』と言ってくれるんですよ。この作戦でほとんどの野菜を食べられるようになりました」

(3)コース作戦
「レストランのコース料理は、前菜が小さな器で出てきて、それを食べると次の料理が出てきますよね。それをまねて、小鉢に入れた野菜を先に出してしまいます。それを食べないと次の料理が出てこないので、ちゃんと食べてくれます。野菜が残っているのを見なくていいので、親もストレスを感じなくて済みますよ」

テストに試合に…子供には万全の態勢で勝負に挑んでほしい。そんな時、吉谷さん流の“勝ちめし”でサポートしてみてはいかがだろうか。

球団初の阪神タイガース認定レシピ集『トラめし 強い体、疲れない体をつくる!』(講談社)

(C)阪神タイガース

吉谷佳代
阪神タイガース栄養アドバイザー
管理栄養士、公認スポーツ栄養士。2015年より、阪神タイガースの栄養アドバイザーを担当。筋肉強化や増量、減量など、パフォーマンス向上のための栄養指導を選手たちに直接行うほか、選手の妻たちへの栄養学・料理講習、選手寮や遠征先ホテルのメニュー監修、クラブハウスの食堂メニューに関するアドバイスなど、虎戦士たちの「食と栄養にまつわる指導」を一手に担っている。

吉谷佳代
吉谷佳代

管理栄養士、公認スポーツ栄養士。2001年徳島大学医学部栄養学科卒業後、食品メーカーへ入社。健康食品開発や、スポーツサプリメントの研究開発に従事。その傍ら、管理栄養士、スポーツ栄養士として、多くのアスリート、学生スポーツ、ジュニアへの栄養指導、食育イベントに携わる。2015年より、阪神タイガースの栄養アドバイザーを担当。筋肉強化や増量、減量など、パフォーマンス向上のための栄養指導を選手たちに直接行うほか、選手の妻たちへの栄養学・料理講習、選手寮や遠征先ホテルのメニュー監修、クラブハウスの食堂メニューに関するアドバイスなど、虎戦士たちの「食と栄養にまつわる指導」を一手に担っている。