2023年にリーグ優勝・日本一を成し遂げた阪神タイガース。

表舞台で戦う“虎戦士”らを食事の面からサポートしていたのが、スポーツ栄養士の吉谷佳代さん。

2015年から阪神タイガースの専属栄養アドバイザーとして栄養指導やレシピ提供を行ってきた。現在は、阪神だけでなく女子バレーボールのJTや男子バレーボールのパナソニックも担当。パリオリンピックの男子バレーボール代表チームのスポーツ栄養士として帯同した。

その吉谷さんが監修したのが、球団初の阪神タイガース認定レシピ集『とらめし 強い体、疲れない体をつくる!』(講談社)。

そこから体をつくるためにカギとなるたんぱく質の摂り方と、村上頌樹選手イチ推しの「マグロガーリックステーキ」のレシピを一部抜粋・再編集して紹介する。

「とらめし」3つの特長

「とらめし」とは、虎戦士が実際に食べている「勝負に勝つ」ためのアスリート食事。

運動する人にとって3つのいいことがあります。

「とらめし」3つの特長
「とらめし」3つの特長
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【体をつくる!】体重と筋力を増やして力強く打つ、投げる&速く走る体へ
体格が大きく運動量が多いプロ野球選手は、エネルギーの材料となる炭水化物とたんぱく質をしっかり摂ることがカギ!さらに、体づくりを助けるビタミンB群、血液の材料となる鉄や、骨の材料となるカルシウムも欠かせません。

【リカバリーする!】「疲れ貯金ゼロ」でタフな勝負にも粘り勝ちできる体へ
リカバリー(recovery)とは、回復・取り戻すといった意味の言葉。プロ野球選手は体に高い負荷がかかるトレーニングを行いつつ、平均約3時間に及ぶ試合を年間143試合こなします(日本野球機構[NPB]発表/2023年シーズン)。

【体をしぼる!】「動きのキレ」を手に入れて思い通りのプレーができる体へ
自分の理想とする動きを実現するために、プロ野球選手はときに体をしぼることがあります。ただし、普通のダイエットと違って、大幅な体重減少は野球選手にとってパワー不足の原因にもなります。

体づくりの基礎となる「五大栄養素」とは?

満塁ホームランもノーヒットノーランも、勝負に勝てる強い体はバランスのよい食事から。栄養素の基礎を知る「とらめし」はじめの一歩。

筋肉を大きくするには、「運動・食事・休養」の3つのサイクルを回すことが大切です。

筋肉は、毎日以下のようなことを繰り返すことで大きくなります。

(1)運動によって筋繊維に傷がつく
(2)必要な栄養素を補給する
(3)成長ホルモンが分泌される
(4)以前よりも筋繊維が太くなる

五大栄養素
五大栄養素

食事による「必要な栄養素の補給」では、食品に含まれる栄養素の中でも「五大栄養素」と呼ばれる炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルの5つをバランスよく摂取するのがポイント。

それぞれの働きは異なりますが、どれも体づくりに欠かせない重要な栄養素です。

特に効率よく摂りたい!たんぱく質

五体栄養素の中でも、筋肉をつくるために意識したいたんぱく質。どのくらい摂る?摂った分だけ筋肉に変わる?など、たんぱく質&筋肉の関係性を知っておきましょう。

<1>筋肉は1日1%、3カ月で生まれ変わる
筋肉は、1日1%のペースで細胞が新しいものに生まれ変わります(ターンオーバー)。とてもゆっくりとしたペースですが、計算上は3カ月で総入れ替えされるといわれています。

つまり、3カ月前の自分と今の自分では全く別の筋肉をまとっているということ。体づくりも、まずは「3カ月単位」で取り組むのがおすすめです。

<2>1日のたんぱく質必要量は「体重kg×2.0g」
ハードなトレーニングをするプロ野球選手や、増量・筋力アップを目指す人は「体重1kgあたり2.0g」を推奨。

例えば、体重80kgの場合は、1日160gのたんぱく質が必要になります。この量は、運動をしない一般男性の約2倍量。朝・昼・夕の3食だけで摂るのは難しいので、運動前後の補食やプロテインなども活用しましょう。

<3>たんぱく質の吸収は「1回20g」が上限
たんぱく質は摂った分だけ筋肉に変わるのではなく、ある一定量以上は頭打ちで合成が進みません。その上限値が「1回20g」といわれています。

それ以上は吸収効率が悪くなり、筋肉に使われません。一度にたくさんの量を摂るのではなく、20~30g程度(多くても40g)にして、摂る回数を増やしてみてください。

過剰な摂取は要注意

たんぱく質を「ちょい足し」できる食品を知っておくと、忙しい朝、疲れた夜でも楽に補給できます。ぜひ覚えておきましょう。

ちょい足し!たんぱく質食品:
納豆、牛乳、チーズ、冷ややっこ、バナナ

また、過剰なたんぱく質は体脂肪に変わりますので注意が必要です。