「厚労省は、アニサキスが死ぬ条件として『-20℃で24時間』冷凍することとしています。冷凍庫に入れてからではなく、冷え切ってから24時間がポイントです。一方で家庭用冷凍庫の温度はJIS規格で-18℃以下。さらに、ドアの開閉で温度が上がるため、-20℃で24時間冷凍できているか判断しづらいのです。本当は家庭用冷凍庫で何時間という条件が示されていれば安心なのですが、機種や開閉条件などを考えると一律に言うことは難しいようです。私の場合、過去の経験から家庭用冷凍庫に入れてから1週間以上を目安として自己責任として食べていますが、これまで一度もアニサキスに当たったことはありません」
押さえておきたいポイント
早武さんによれば、アニサキス対策として冷凍する際に知っておきたい知識は以下のとおりだ。
・魚の中心温度が-20℃になってから24時間以上冷凍する必要があり、家庭用冷凍庫なら1週間以上冷凍する。
・開け閉めで庫内温度が上がるので、開閉は必要最小限に。
・冷凍庫はミッチリ詰めておくと庫内温度が上がりにくくなる。
そして、おいしく長持ちさせるポイントもある。
「何も対策をせず冷凍すると、空気に触れた部分が酸化と乾燥により『冷凍焼け』してしまい、食感や味が落ちてしまいます。特にイワシなどはすぐに酸化します。そこで、チャック袋を用意し、空気を抜いてピタッと密閉し、空気に触れないようにするのがポイントです」

方法は以下のとおり。
・切り身やサクをチャック袋に入れ、空気を抜いて袋をピタッと密着させ冷凍する。魚の表面に水分があるほうが密着できるため、水を少量足してもいい。
・冷凍保存する(アニサキス対策の場合は1週間以上。2~3カ月程度はおいしく食べられる)。
・流水で数分間解凍する。中が多少凍っているくらいで切って盛り付けるとお皿の上で解凍されてちょうどよい。
アニサキスは酢で死なない!
さらに、酸化・乾燥を防ぐのに早武さんがお勧めする方法として、ヅケにしたり酢で締めたりして下味をつけてから冷凍する方法がある。調味料が身を酸化と乾燥からガードすることで保管期間も長くなる。
例えば、コハダの場合は次のとおり。