「大人になってオリンピックに出たい」。愛媛の小学3年生の少年がマットで練習に打ち込み、初めての全国大会で準優勝に輝いた。母親もオリンピック出場を狙っていた柔道の元アスリート。とことん練習に打ち込む強い気持ちを受け継ぎ、「自分を信じる」の言葉を胸にいつも自らを奮い立たせている。

「オリンピックで活躍できる選手に」

2024年夏に行われたパリオリンピックで、日本勢が大活躍したレスリング。このマットをテレビを通じ、羨望(せんぼう)のまなざしで見つめていた小学生がいる。夢は「オリンピック」と語る下口魁士選手だ。

オリンピックを目指し練習に打ち込む下口魁士選手(小学3年生)
オリンピックを目指し練習に打ち込む下口魁士選手(小学3年生)
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「グレコローマンスタイル(の選手)がいっぱいメダルをとっていて、すごいと思いました。大人になってオリンピックで活躍できる選手になりたいです」と未来への思いを語った。

下口選手は、松山市の新玉小学校に通う3年生だ。地元の「松山レスリングクラブ」で幼稚園からレスリングに打ち込んでいる。クラブには全国大会経験者も多く、年齢も階級も上の選手を相手に練習を重ねて力をつけてきた。

指導者する森山政秀監督は、下口選手について「不器用ではあるんですけど、一つ一つを不器用なりに最後までやり切ろうという気持ちを持って練習していると思います」と話す。

元アスリートの母が練習をサポート

「しっかりしっかり!しんどい時ほどしっかり!」と、監督とは別に下口選手を叱咤(しった)激励する声が飛ぶ。

母親の晴子さんだ。晴子さんは、実は柔道の元アスリート。旧姓は風戸晴子さんで、宇和島市出身だ。7歳で柔道を始め、内股を武器に高校時代から国際大会に出場。帝京大学から実業団チームで競技を続け、オリンピックを目指すなど一時代を築いた。

晴子さんの活躍について「おばあちゃんのお家に行った時によく『お母さん強かったのよ』と聞きました」と語る下口選手。

晴子さんは「私も柔道でオリンピックを目指してずっとやってきた。それを目指してくれるのはうれしい。柔道を通じて色々なことを経験させてもらって、今も一番の宝になっている。息子も種目は違いますけど、色んなことを経験して色んな人と出会って、勉強をしていってほしいと思います。それでオリンピックにつながってくれたら、すごくうれしいです」と下口選手の成長を願っている。

下口選手は尊敬する母と一緒に、学校に行く前に一緒に走ったり、家でタックルの練習をしたりしているそう。心強いサポートを受け、レスリングの練習に打ち込んできた。
またラグビーもしていて、持久力やラグビーのタックルがレスリングにも生かされているという。

初めての全国で準優勝も悔し涙…

そして3年生になった2024年、7月に初めて全国大会に出場。小学3年男子36kg級で練習の成果を発揮し、決勝まで勝ち上がった。決勝戦では思うような試合をさせてもらえなかったものの、初めての大舞台で堂々の準優勝を果たした。

しかし下口選手が流したのは、悔し涙。大きな財産になった。

下口選手は「決勝戦は11-0で負けてしまったけど、全国大会のマットの上で戦ったことは僕の大きな自信になりました。緊張したけど自分を信じて、毎日練習してきたことを忘れずに試合に臨みました」と胸を張った。

試合のマットに上がる前には、心の中で「自分を信じる」。この言葉を言い聞かせ、自らを奮い立たせているという。

将来の目標について下口選手は、「全国大会で優勝することと、大人になってオリンピックで金メダルをとること」と話す。

ハートに宿るのは母から受け継いだ、とことん練習に打ち込む強い気持ち。下口選手はこれからも自分を信じて、大きな目標に向かって突き進む。

(テレビ愛媛)

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