空高く舞い上がる姿が印象的な棒高跳び。その競技に全身全霊で取り組み、全国大会で銀メダルを獲得した成長著しい期待の星が愛媛県にいる。兄との絆を原動力に、世界を見据えた彼の挑戦が今、始まっている。
兄と共に歩む競技人生
助走のスピードをポールの反発力に変えて空高く舞い上がる棒高跳び。済美高校1年生の藤岡璃依也選手は、棒高跳びの魅力について「体が浮くことと、バーを超える瞬間が楽しい」と語る。

松山市の桑原中学校を拠点に活動する陸上クラブ「グランツアスレチックスクラブ」で中学から棒高跳びを始めた藤岡選手。高校進学後も週に3日、このクラブで跳躍の練習を続けている。陸上を始めるきっかけを作ってくれたのは、一緒にやろうと誘ってくれた兄・翔也さんだった。

兄の翔也さんは「家でも普通に仲良くて、学校も一緒なんでずっと一緒にいて…」と笑顔で語り、璃依也さんは「もう本当に自分からすると心の支え。一緒にいると気持ち的にも楽になって動きもよくなるので、行動力に移せるような力がお兄ちゃんにはある」と仲の良さや絆を語った。何事にも積極的な兄に刺激を受けながら成長を続けてきた藤岡選手は、その努力が全国の舞台で大きく花開いた。
全国の舞台で証明した実力
2025年2月1日に大阪で行われた全国大会「日本室内陸上大阪大会」で4メートル70を跳んで準優勝。結果を残し、自信を深めた藤岡選手は、「高校2年生で5メートル跳んでる人が何人もいるんで、その人に追いつけるように自分もあと数か月頑張って、2年生の夏ぐらいに5メートル10ぐらい跳んで肩を並べようという感じ」と、さらなる高みを目指している。

高校生の5メートル超えはトップ選手の証。藤岡選手はそこに到達するために、さらなる進化に取り組んでいる。中学から彼を指導する新良コーチは、棒高跳びを踏み切るまでが「陸上競技」で、踏み切った後は「器械体操」だと表現する。

グランツAC・新良重徳コーチ:
空中で自分の体をコントロールしなければいけないので、普通のバーベルを持っての補強ではなくて、自分の体重を上に持ち上げるような補強、ロープとか鉄棒とか器械体操的な補強は不可欠。
楽しむ初心を忘れず世界へ
踏み切った後の空中動作は、バーが高くなるほど重要で、藤岡選手にとって重要な補強ポイントでもある。

藤岡選手は「ポールの反発をもらう時に力を入れる瞬間が2つあって、ポールの伸び始めの時に1回入れるのと、伸びきった後にもう1回いれる。その2回目の時がまだ弱いんで、そこを強くしたい」と技術面での課題を冷静に分析する。

競技を始めて4年。伸び盛りの高校1年生は技術だけでなく、競技への向き合い方も大切にしている。藤岡選手は「一番最初にポール握って跳んだ時に楽しいという感覚が一番大きかったので、楽しむ初心を忘れずにやっていくことを意識しています」と語る。
その先には明確な目標がある。

藤岡璃依也選手:
まずインターハイで表彰台に乗ることと、U20、全日本…本当に世界で戦えるようなレベルになっていきたい。
誰よりも高く。高い志を胸に、愛媛期待のアスリートが、空高く舞い上がる。
(テレビ愛媛)