人力車に乗って笑顔になる。その魅力を多くの人に伝えたいと、無料で乗車体験を提供しながら日本一周の旅を続ける男性がいる。兵庫・明石市出身の福浪弘和さん(37)だ。旅の終わりは決めていないという福浪さんが次に向かうのは…。
料理人から人力車の旅人へ
「僕、和食の料理人なんですよ。ずっと地元兵庫県明石市で料理をしていたが、たまたま東京の浅草で何気なく人力車に乗った時に感動した」と福浪さんは語る。その体験が、彼の人生を大きく変えるきっかけとなった。
この記事の画像(7枚)人力車の魅力に取り憑かれた福浪さんは、4年前に約200万円で人力車を購入。当初は明石で料理人をしながら、店の客などを乗せていたという。しかし、多くの人が料金の高さを理由に人力車に乗らないことを知り、「自分で(人力車を)買ってみんな無料で乗せてあげようと思い、全国を歩きながら色々な人を乗せて旅している」と決意したのだ。
2万3000人以上を無料で乗せた旅
福浪さんは人力車を購入してからこれまでに2万3000人以上を無料で乗せてきた。旅のルールは「全都道府県を巡るまで自宅には戻らない」「各県庁所在地に必ず立ち寄る」ことだ。
9月17日、34.7度の真夏日となった長崎で、福浪さんは観光客を乗せて街を練り歩いていた。長崎は47都道府県中23カ所目となる。眼鏡橋を走る様子に、乗客は「すごい、本当にまじですごい」と感動の声を上げていた。
熊本から来た観光客は「歩くより景色がきれいに見えた」「地方で乗ることができて貴重な体験ができたので素敵な活動していると思った」と喜びを語った。
福浪さんは人力車を「人を惹きつける魔法の乗り物」と表現し、「人と人を人力車でつないでいく、プラス笑顔を運べたらいいかなと思い活動している」と、その思いを語る。
旅の資金は料理人時代の貯金を切り崩しているが、各地で出会った人々の好意に支えられている。ご飯をおごってもらったり、宿泊先を紹介してもらったりと、人々の温かさに触れる日々だ。
ギネス記録保持者の新たな挑戦
実は福浪さん、「下駄でフルマラソン 速さ世界一」のギネス記録保持者でもある。チャレンジ精神旺盛な彼が次に選んだのが、この人力車での日本一周の旅だった。
人力車の後部には、各地を巡った証として、もらったシールやぬいぐるみなどが飾られている。これらは、福浪さんの旅の軌跡を物語るものだ。
次なる目的地へ
長崎での滞在を終えた福浪さんは、次に佐世保方面に向かう予定だ。本土最西端の神崎鼻岬を目指すという。そこから北上し、いずれは北海道も巡る計画だ。
「ゆっくりゆっくり色々な場所に行きながら旅しようと思っている」と福浪さん。旅の終わりは決めていないという。人力車で運ぶ笑顔の輪が、これからも日本中に広がっていく。
(テレビ長崎)