子どもの将来の可能性を広げる幼児教育の重要性が高まる中、英語だけにとどまらない最先端の教育を行うバイリンガル保育施設を取材した。

保育園と幼稚園の機能を「一体化」

タワーマンションや商業施設など、街としての進化を続ける福岡市東区のアイランドシティ。その一角に2024年4月に開園した注目の保育施設がある。バイリンガル幼児園の「キッズ・デュオ・インターナショナル」、通称・KDIだ。

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一般的な保育園と同じ保育時間で、幼稚園のように教育を柱としていることから、双方の機能を一体化させた「幼児園」と称している。

2013年に神奈川・横浜で誕生した第1号の園を皮切りに、関東圏を中心に関西や名古屋にも次々と展開。この春、九州に初進出した。

4年間で3800時間以上の英語環境

「♬Hello,Hello What’s your name ? Let‘s be friends~」教室内に流れる英語の歌。

各クラスはネイティブ教師とバイリンガルスタッフの担任制で、2歳児と年少クラスは一般的な保育士とバイリンガル、そしてネイティブが1人ずつの計3人。年中と年長クラスは、バイリンガルの保育士とネイティブの2人が担当する。

KDI福岡アイランドシティの芋生修一園長は、「自分の意思が通じる、相手の言っていることが少しでも分かってくると楽しい気分になりますよね。楽しさを積み上げていくことで自然と英語に慣れる、話す、聞くということにつながってくる」と語る。

KDIによると、2歳~6歳までの間は言語習得の黄金期とされ、この時期に日本語と英語の両方を一定レベルで習得できれば、日本語でしゃべるように自然な英会話ができるようになるというのだ。

実践的な職業体験でバイリンガル教育

英語での職業体験の授業では、警察官や消防士など20種類以上に及ぶ職業になりきり、生きた英語の習得を目指す。

一般的に英語の習得には2000~3000時間ほどかかると言われるが、KDIでは2歳からの4年間で3800時間以上を英語環境で過ごすことができ、高校中級レベルに当たる英検準2級程度の英語力が身につくという。

知育で将来の土台「脳の器」を広げる

バイリンガル幼児園というが、英語だけに特化しているわけではない。知育の時間も設けられ、担当のスタッフが図形を使った問題をゲーム感覚で子どもたちに考えさせていた。

将来に向けて、土台となる「脳の器」を広げるのが狙いで、言語を司(つかさど)る部分以外の脳を活性化させるために日本語を使うのだ。また、日本人としてのアイデンティティーにも重きを置いていて、礼儀作法も年代に合わせて細かく指導しているという。

年中クラスに通う畑瑠南ちゃんは、元々、別のインターナショナル保育園に通っていたが、4月からKDIに移った。母親の美幸さんは「とにかく英語をしゃべることができたら、英語と日本語がしゃべれたら、世界中で活躍できる場があるのではないかと思って」と、期待を寄せる。

美幸さんによると、KDIに通い始めて約5カ月。ふとした日常生活にも英語が出てくるようになったと娘の変化を実感しているという。「『となりのトトロ』を英語で歌ったり、お兄ちゃんとケンカする時も『Don’t touch』みたいな。きっとラーニングステーション(職業体験)で学んだことを家で実践しているという感じだと思うんですよ」。瑠南ちゃんも「もっと英語しゃべられるようになりたい」と意欲的だ。

忍者になって「走る・跳ぶ・投げる」

KDIのもう一つの特徴「運動の時間」。専門家によって身体機能を高める「運動の時間」も大きな特徴だ。子どもたちは忍者のような運動着を着ているが、忍者になりきった遊びを通じて、運動機能の向上を目指すという。東大の名誉教授監修のもと、「走る・跳ぶ・投げる」といった9つの正しい基本動作を、遊び感覚で学べるプログラムになっている。

そして、年に1度、動作解析ソフトを使って、園児一人一人の改善点を分析して保護者とも共有する。

最先端の保育施設だが、気になる月謝は、9万7020円。厚労省が定めた基準を満たした認可外保育施設に分類されるため、3歳からは、市から月額3万7000円の交付を受けることができ、約6万円の月謝となる。

決して安くはない金額だが、芋生園長は「英語があり、運動があり、知育があり、ライフスキルがあり、すべてオールインワンで一つの園ですべて修了できますので、そういった意味では、非常に魅力的であるし、考え方によってはお得感もあるんじゃないかなと思っている」と自信をのぞかせる。

一般的な保育園と同様、午後8時までの延長保育が可能で定員は12クラス340人。2025年度に向けた説明会などを実施しているという。

(テレビ西日本)

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