鹿児島県肝付町にある全寮制の中高一貫教育男子校「楠隼(なんしゅん)」で、年に一度の恒例行事「寮マッチ」が開かれた。2026年度から女子生徒も入学するため男子だけの大会は今回が最後。頭脳と身体能力を競う伝統の戦いをのぞいてみた。
全国初の全寮制公立中高一貫男子校
楠隼中学・高校は、公立では全国初となる全寮制の中高一貫教育男子校として2015年に開校した。生徒たちは大学合格を目指し、学校でも寮でも勉強漬けの日々を送っている。

千葉県から入学してきた中学2年の安 俊さんは、将来医師かパイロットになることを夢見て日々勉強に励んでいる。1日の勉強時間を聞くと「10時間ちょいぐらいですかね」と答え、「楽しい、かつ油断はしちゃいけない。休むことに集中すると一気に落ちてしまうので。自分次第で生き残っていかないといけないと思う」と語った。
頭脳と身体能力を競う寮マッチ クイズは超難問も出題
年に一度の「寮マッチ」は寮のフロアごとに8チームに分かれ、ナンバー1をかけ、頭脳と身体能力で勝負する。「ドッジボール」や、目を隠した状態で相手の気配を感じて斬る「気配斬り」など5種目が行われた。
寮マッチは中学1年生から高校2年生までが協力してワンチームで戦う。クイズ大会では「パソコンのマウスを動かした距離は『ミッキー』という単位で表現されるが、『1ミッキー』の長さはどれくらい?」といった高難度の問題も出された。クイズ研究会の先輩が残した問題だという。
クライマックス「雑巾がけリレー」では大技も!
各競技で盛り上がりを見せた寮マッチ最大の名物は「雑巾がけリレー」。約100mある寮の長い廊下を、1チーム4人で雑巾をバトンがわりにつなぎ、タイムを競う。ただし今回は女子生徒の受け入れ準備で寮の一部が工事中のため、コースは84メートルに短縮された。
優勝候補は「2棟1階チーム」。日頃から雑巾がけを毎日2往復、500メートル以上も練習してきた。同チームのリーダーである高校2年の日高孝太郎さんは「優勝トロフィー、俺たちがもらいたいと思います」と意気込みを語った。
雑巾がけの技術は奥が深い。雑巾の厚みや水分量によって滑りが変わり、またパスの方法も重要だ。開校3年目の先輩たちが考案したのが、次の選手の股の下をくぐって雑巾をパスするという大技。これで大会新記録となる30秒を切って以来、代々受け継がれている伝統技である。

男子のみの最後の戦い
「用意、スタート!」のかけ声でレースが始まった。ピッチサイドならぬ廊下サイドで見守る生徒は「いけいけー!」と声を上げたり手拍子したり、応援も白熱。伝統の「股くぐり雑巾パス」が行われるゾーンでは「足開け!」と絶叫する生徒も。
こうして“廊下スタジアム”での大熱戦が終了した。優勝トロフィーをもらうと張り切っていた2棟1階チームだが・・・
結果は優勝チームにわずか1.74秒及ばず2位!各競技のポイントを合計した結果、合計ポイント11万9694点を獲得し優勝したのは1棟1階チーム。代表者が「よっしゃー!」と雄叫びをあげ、棒状のスナック菓子を積み重ねた特製トロフィーを手に喜びのウイニングランをみせた。
寮マッチ実行委員長の宮田知弥さん(高校2年)は「これから多様性の時代になっていき、いろんな生徒が楠隼に集まってくると思う。一つ屋根の下で暮らす家族のような絆をこの先も忘れずに、このようなイベントをして培ってほしい」と語った。
男子生徒だけの最後の寮マッチは大盛り上がりで幕を閉じた。2026年4月には中学1年の女子生徒が入学する。新たな時代を迎える楠隼の伝統行事がどのように進化していくのか、注目だ。
(動画で見る▶雑巾がけリレーで白熱!全寮制・楠隼の寮マッチ、4月からの共学で一つの時代が幕を閉じる)
