自民党総裁選は12日、正式に戦いの火ぶたが切られた。候補者の数は異例の9人。12日午後4時ごろから「イット!」で、その9人が初の討論会に臨んだ。自分の考えと違うポイントを、候補者同士が追及。初めての討論会で、意見が対立する候補者が相次いだ。
12日正式に総裁選スタート…麻生氏もタオル振り回し出陣式
12日に正式なスタートを迎えた自民党の総裁選挙。出陣式では、九人九色の光景が広がった。
この記事の画像(26枚)午前11時過ぎ、参加者が首にサナエタオルを巻き気勢を上げたのは、高市早苗経済安保相(63)の陣営。
「コバタカ!コバタカ!」
小林鷹之前経済安保相(49)は正午過ぎ、、コバタカコールの中、一人一人とグータッチした。
「♪いま守ろう~」
林芳正官房長官(63)は午前11時半頃、自分のバンドの代表曲だという「東京卒業」を流して、笑みを浮かべた。
小泉進次郎元環境相(43)は正午過ぎ、届け出順が4番だったことを意識し、「フルスイングで4番バッター。頑張ってまいります」と語った。
午前11時過ぎ、上川陽子外相(71)の出陣式では、元SPEEDの今井絵理子議員が手話で“ガンバローコール”。「がんばろー!」と声を上げた。
加藤勝信元官房長官(68)は正午過ぎ、出陣式の前に行った会議で、自分の名前「勝信」にちなみ「勝(かつ)」のシールを貼ったカレーを配った。
河野太郎デジタル相(61)の陣営は正午過ぎ、タオル回しで士気を高めた。来週84歳になる麻生太郎副総裁も、水色のタオルを回した。
午前10時半過ぎ、石破茂元幹事長(67)の出陣式では、岩屋毅元防衛相が壇に上がろうとしてつまずくハプニング。岩屋元防衛相は「最初にコケたら大変ですよ」と苦笑いだった。
会場には安倍派幹部の姿もあり、石破氏は「派閥が無くなるっていうのはこういうこと」と話した。
午前11時過ぎ、「茂木!茂木!」の歓声に笑顔だったのは茂木敏充幹事長(68)。出陣式では「日本の星もてぎ」と書かれた、手作りうちわを掲げる人もいた。
午後1時からは、自民党本部で9人がそろって所信表明演説会が行われた。
イット!生出演で初“討論会”
そして、午後4時頃からイット!に生出演した9人は、告示後、初めてとなる“討論会”で、論戦を繰り広げた。
自分と違うポイントを候補者同士が質問し合う場面では、高市氏が、小泉氏が掲げる解雇規制の緩和を追及した。
小泉氏「解雇の自由化全く考えていない」
高市早苗氏:
小泉候補よろしいでしょうか。解雇しにくい(というが)、G7だけで見ると日本は4番目、どちらかというと解雇しやすい国。需給ギャップがプラスでない状況で自由化すると、需要不足なので、労働市場を自由化したら、より生産性が高くて賃金が高いところに移動できずに失業してしまう可能性はないですか?
小泉進次郎氏:
誰もが働きやすい、自分らしい働き方ができる社会を実現するための労働市場改革をやりたいと思っている。高市さんから自由化という言葉があったが。解雇の自由化は全く考えていない。大企業にリスキリングの義務付け、再就職の支援の義務付け。こういったことをやっていきたい。また時間があるときに丁寧にお話ししたい。
林芳正氏:
解雇規制の緩和はやらないとお聞きしたので、河野候補に同じ質問です。解雇をやりやすくしようとしているのか。お願いします。
河野太郎氏:
賃金を上げようと思うと、もちろん大企業のベースアップも大事ですけども、この1400万人、400万人の方が新しいスキルを身につけて付加価値の高い仕事にいかに移るかというのが大事だと思います。
小泉氏は、上川氏に質問をぶつけた。
選択的夫婦別姓導入に上川氏「分断避けるべき」
小泉進次郎氏:
1年のうちに決着つけたいのが選択的夫婦別姓の導入。上川さんも賛成だと思うが、どのように国民的な理解や議論を進めるのか?
上川陽子氏:
賛成か、反対か、世の中を分断するような議論は避けるべき。合意形成をはかるため、国民との対話をしっかりしていく必要がある。
加藤氏は、高市氏に質問をぶつけた。
加藤勝信氏:
旧姓を使い続けることができる、私は「旧姓続称制度」と呼んでいるが、高市氏のお考えは?
高市早苗:
国も地方公共団体も公私の団体も企業も、この旧姓を使える、その環境を整える責務がある。
意見が真っ向対立したのが、小林氏と石破氏だった。
小林氏が、天皇制の見解について、石破氏に次のように尋ねた。
天皇制に石破氏「伝統尊重するのは当たり前」
小林鷹之氏:
石破候補はかねてから、「男系男子のみで皇位を継承し続けることは不可能に等しい。女系だからダメだという議論には賛同しない」と述べられてきた。ただ、先月下旬の講演会で、「容認するとは言っていない」と述べたと報じられている。これまでの考えを変えたのかどうか?
石破茂氏:
いままで男系男子でやってきた。それが日本の伝統だ。それを尊重するのは当たり前であって、皇室をきちんと守るために、色んな議論はあり得る。
小林鷹之氏:
女系を容認しないと受け止めてよろしいでしょうか?
石破茂氏:
大事なのは、いかにして国民統合の象徴の皇室をお守りしていくかということです。
茂木敏充氏:
男系男子と、これを皇統をつないでいくっていうことは前提に議論していかなきゃいけないと思っています。私この問題、前回天皇陛下の生前退位の問題からずっと関わってきたので、制度的に安定させることは何よりも重要だと思っています。
「防災省」は屋上屋?小林氏「内閣防災機能を強化すべき」
さらに、石破氏は創設を訴える「防災省」について、小林氏と激論になった。
石破茂氏:
小林さん、「防災省」を屋上屋(おくじょうおく)っておっしゃった。全国知事会がこれは必要だ、6割以上が必要だと。屋上屋といって否定する根拠は?
小林鷹之氏:
屋上屋と申したのは、防災対応は多くの場合、自衛隊が派遣される。最高指揮官は総理。官邸で迅速にやるべき。その場合、今、内閣防災の機能、企画立案能力がまだまだ弱い。そこを強化すべき。
小林氏が、防災省について、無駄なことを意味する「屋上屋」と指摘すると、石破氏は猛反論した。
石破茂氏:
避難所が100年前のままで本当に良いのか。実際にそういう任に当たっている市町村長たちが「頼むからそういう役所を作ってくれ」と言っているのを、どうして無視するのか。
小林鷹之氏:
人員の話について言えば、わざわざ防衛省をつくらなくても、各省の連携は今、比較的良い体制が構築できていると思っている。
石破茂氏:
今のままでいいなんて、世の中の人は誰も思っていない。
15日間の選挙戦をへて、新しい自民党総裁は27日に決まる。
立憲民主党代表選…新代表は23日決定
一方、立憲民主党の代表選挙の候補者4人も12日、論戦を交わした。
野田佳彦元首相(67):
政治資金パーティー、政策活動費、こういうものにメスをいれる、本気の政治改革を実現していきたい。
枝野幸男前代表(60):
選択的夫婦別姓とか、政治改革とか、野党をパクっているような話は、すぐにでもやれ、我々は協力する。
泉健太代表(50):
政権交代の期待も高まってきた。私は、この次さらに、バージョンアップさせて立憲民主党をひっぱっていきたい。
吉田晴美衆院議員(52):
消費税の食料品ゼロ税率、これを実現して、時限的でもいい、でもやりましょう!
立憲民主党の新しい代表は、23日に決まる。
(「イット!」9月12日放送より)