瀬戸内海では、ここ数年クラゲの大量発生が漁業に深刻な影響を及ぼしている。広島県福山市では、クラゲを網の目の管に通し、ところてんのようにカットして退治する「クラゲカッター」を導入して駆除を始めた。
2023年から被害が深刻に
底引き網の中から一気に飛び出てきたのはクラゲ。ここ数年、広島県東部で大量発生し漁師たちの頭を悩ませている。

2023年の取材では、底引き網に大量のクラゲがかかり、漁に影響を及ぼしていた。

底引き網漁師・村上正さん(2023年取材時):
入っとるよ!クラゲ!今年は1番多い、去年と比べると倍の量

1年たった2024年、再び漁に同行すると、状況は変わらず、網には大量のクラゲが…。

クラゲが網に多く入ると、魚が死ぬ被害に見舞われるという。
村上さんの妻・澄子さん:
魚がどうしても死んでしまう。クラゲが網にたくさん入ると、魚の活きが悪くなる。
カッターに通し、ところてんのように切る
こうした中、福山市では他県の例を参考にした「クラゲカッター」を製作し、駆除の実証実験に取り組んでいる。

クラゲを装置に通し、下部についたカッターで切断することでコンパクトに駆除できる。

村上さんは、「これで切ったら気分的には、ちょっと減ってきたのかなと」と話すなど、クラゲカッターを使い始めて、クラゲが減ってきたような気がするという。

専門家によると、魚が減るとクラゲが増える傾向があるそうだ。
広島大学・上真一名誉教授:
クラゲがなぜ増えたか正直なところわからない。いくつか原因があって、例えば温暖化は顕著で、とくに冬の水温があがったことが大きい。今、魚が少なくなっている。魚とクラゲはエサを巡って競合するので、魚が少なくなると、エサが余ってクラゲが増えやすくなる。

また、クラゲを減らすには、クラゲの幼体がいる“すみか”を見つけた上で、駆除できるかがポイントだということだ。
(テレビ新広島)