瀬戸内海で養殖カキの大量死が発生し不安が広がる中、岡山県内有数の産地、備前市日生町では11月27日、本格的なカキの水揚げが始まった。他の地域と同様に多くのへい死が確認され、漁協が対応に追われている。
◆本格的な水揚げ開始も…引き上げたカキの約半数が死ぬ
「大きいカキが死んで、残った小さいカキも成育が十分ではない。今年は小さい」
こう語るのは、日生町漁協の中嶋浩貴さん。27日に本格的な水揚げが始まった備前市日生町。中嶋さんのカキイカダでは引き上げたカキの約半数が死んでいたそうだ。
岡山県の調査結果によると「1年もの」は「2年もの」よりもへい死が少ないということだったが、中嶋さんは「実際は4割から5割が死んでいる」と、深刻な状況を話した。

◆約2割から7割の養殖カキが死ぬ 生き残っているカキも小さく…「これをどう販売するか」
広島県では2025年、養殖カキの大量死が確認され、瀬戸内海一帯にカキの生育状況への不安が広がっているが、日生町漁協では約2割から7割の養殖カキがへい死しているのだそうだ。
広島と同じく、海水温が高かったことや雨が少なかったことなどが原因とみられています。死んだカキが大きく、残っていても小さい成育状況。中嶋さんは「これをどう販売するか悩んでいる」と苦慮している。

◆出荷量減で漁港近くの直販所に並ぶ殻付きのカキも少なめ
日生漁港のすぐ近くにある直販所では11月16日から殻付きのカキが販売されているものの、不漁の影響で多くのカキ漁師が出荷量を少なくしていて、例年よりも店頭に並ぶ数を減らすなどの対応をしている。
直販所の店員は「例年より少し少ない。12月に向けて大きくなればいいと思う」と、様子をみている状態だ。

◆大量死にも望みは捨てず…漁協は一丸となって「頑張って乗り切ろう」
2026年4月末まで続く日生町でのカキの水揚げ。
「成育不良でも最後にはちゃんとしたカキになっているので、それに期待している」と同組合の田丸和彦組合長。「漁師にとっては厳しいが「頑張って乗り切ろう」と声を掛けながらやっている」と、年明けには大きく成長したカキがとれるのではと、望みを捨てず水揚げ作業にいそしむ。
(岡山放送)
