8月1日、突如日本のSNSのトレンドワード上位に浮上した「無課金おじさん」。

パリオリンピック・エアピストルのトルコ代表で銀メダリストの51歳の“おじさん”があまりにクールでカッコいいとして大いにバズったのだが、「無課金おじさん」のバズりようはワールドワイドなものだった。

突如トレンドワードに浮上した「無課金おじさん」
突如トレンドワードに浮上した「無課金おじさん」
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身長180センチで独身という“イケオジ”のご本人は、すでにトルコに帰国していて、「ここまでとは思っていなかった。驚いたよ。世界中の人々が良い反応を示してくれたのは嬉しいです」と話している。

まるでシティーハンター

「無課金おじさん」とは、パリオリンピック射撃混合10mエアピストル団体で銀メダルを獲得したトルコのユスフ・ディケッチ選手(51)のこと。

特殊な眼鏡などを装着する選手が多いが…
特殊な眼鏡などを装着する選手が多いが…

エアピストルでは多くの選手が、発射時の音から耳を守るイヤーマフや、狙いを定めやすくするための特殊な競技用のメガネを装着しているが、ディケッチ選手がつけているのは小さな耳栓だけ。最小限の装備で戦う姿から、ソーシャルゲームなどでお金を使わないことを意味する「無課金」という言葉が連想され、「無課金おじさん」と呼ばれるようになった。

か…カッコイイ 左手はポケットに入れ標的を見据えるディケッチ選手
か…カッコイイ 左手はポケットに入れ標的を見据えるディケッチ選手

しかもディケッチ選手の射撃スタイルは、左手をポケットに入れて右手にエアピストルを持ち、鷹のような鋭い眼差しで的に対峙し、両目を開いたまま引き金を引くというもの。

まるで人気漫画「シティーハンター」の主人公・冴羽獠のようなクールなスタイルだ。身一つで戦う「無課金ぶり」でも銀メダルを獲得する実力、180センチの長身、渋い外見も相まって、「めちゃくちゃカッコイイ!」「リアルシティーハンターだ!」「トルコがヒットマンを送り込んだ!」などの書き込みがSNSで殺到した。

世界中でバズる「無課金おじさん」は独身

ディケッチ選手のインスタには、日本語で「あなたのプレイスタイルは本当にクールでかっこよかった!!」「ラフな感じで最高にカッコいい」などと書き込まれている。だが、ディケッチ選手のファンが急増しているのは日本だけではない。

世界的な通信社であるAP通信は、「2024年のオリンピックで話題になったトルコの射撃手ユスフ・ディケッチとは何者か?」との記事を配信。Tシャツ姿でポケットに手を入れて表情を変えずに射撃する写真がシェアされ、ソーシャルメディアで話題になっていると紹介した。

本人のインスタグラムより
本人のインスタグラムより

アメリカのCNNも「冷静沈着さの見本のようだ」と賞賛。メキシコのメディアも「まるで自宅にいるかのようにオリンピックに臨んだ」と賞賛した。

先ほどのディケッチ選手のインスタには、ブラジルやオーストラリア、アメリカ、ベネズエラ、韓国など世界中から「あなたはカリスマだ!」「あなたはハンサムだ!」などのコメントが殺到しているのだ。

実は独身

トルコメディアなどによると、1973年生まれのディケッチ選手は憲兵隊として勤務しながら2001年からスポーツ射撃を始めた。また国際射撃スポーツ連盟HPの選手紹介によると、男子10メートルエアピストルの世界ランキング8位で、これまでに世界選手権で2つ、ワールドカップで3つ、ヨーロッパ選手権で7つの金メダルを獲得している。ちなみに、趣味はダンスで、「独身」と記載されている。

見事銀メダルを獲得した
見事銀メダルを獲得した

またインスタには猫と戯れる様子も掲載していて、猫好きでは?との見方が強まっている。

謙虚な人柄

見事パリオリンピックで銀メダルを獲得してトルコに帰国したディケッチ選手は、現地メディアの取材に応じ、世界中で話題になっていることについて聞かれると、「世界は私のことを話題にしているのではありません。世界はトルコを話題にしているのです。私たちはただの象徴にすぎません」と謙虚に応じた。その上で、「私も驚きましたよ、もちろん。ここまでになるとは思っていませんでしたから」「もちろん世界中の人々が良い反応を示してくれたのは嬉しいです」と話した。

またシンプルな射撃スタイルについては、「装備に関して、省庁や連盟から否定的な意見はありません。これは私個人の選択です」「世界では片目で競技する人が多いですが、私は両目で行います。私は色々研究し、その方がより精密に撃てるという確信を得ました」「ポケットに手を入れて撃つことは、見た目のカッコよさとは何の関係もありません。この方がやる気が出るし、撃つ瞬間よりリラックスできるのです」と説明した。

クールで謙虚な人柄も見せたディケッチ選手。パリオリンピックがきっかけで大スターになるかもしれない。

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プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。