7月26日にオリンピック開会式が行われたフランス・パリ。選手たちが船で入場したセーヌ川沿いの建物には、バルコニーからその様子を見守る観客が見えた。そのバルコニーが落下する危険性を専門家が指摘している。
開会式でバルコニーに過剰な負担?
オリンピック開会式の半年前から専門家やパリの不動産組合などによって指摘されていたのが、「バルコニー落下の危険性」だ。

実際に、2023年にはパリ市内のアパート6階のバルコニーが落下し、男女が大けがを負った。また、地方都市でもバルコニーの一部が落下して通行人がけがをするなど、国内の複数の場所で同様の事故が起きている。

パリには築150年を超える建物が多く、一度にバルコニーに出られる人数は2~3人、あるいは1平方メートルあたり4人と想定されているという。
しかし、オリンピックの開会式当日には、友人を招くなど、多くの人が想定を超えた人数で使用していた可能性がある。
「落下の危険性が現実味を帯びている」
地元紙によると、オリンピック開会式で負荷がかかったとみられるバルコニーについて、「建物の所有者はほとんど気にしていないが、危険は現実味を帯びている」と専門家が改めて警鐘を鳴らしているという。
バルコニー自体の落下だけでなく、手すりが外れることによる事故の可能性もある。開会式前に行われた検査では、“大量のひび割れ”が確認されている。

また、上層部の階ほど、雨風の影響を受けて傷んでいるという指摘もある。
一方、パリ警視庁は「バルコニーの使用については、公権力の管轄ではない。使用者がそれぞれの責任において、一般的で適した使い方を心がけるべきだ」と話している。

開会式でダメージを受けた可能性があるパリのバルコニー。パリの街を歩く際には、頭の上を気にしたほうがいい?かもしれない。