七尾市の「のとじま水族館」が7月20日、およそ7ヶ月ぶりに営業を再開。地震の爪痕は深く、ショーはほとんどが休止、シンボルのジンベエザメもいない。それでも再開を心待ちにしていた多くの人たちが訪れた。
約7カ月ぶりに水族館に戻った賑やかな声
約7ヶ月ぶりの営業再開にこぎつけた七尾市ののとじま水族館。チケット売り場には午前10時のオープン前から再開を待ちわびた多くの人が…
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Q再開してどうですか?
「なんかもう泣きそうです」
予定よりも少し早く、入場開始になると…「きたきた!小さいお魚下にめっちゃおる!」水族館に子供たちのにぎやかな声が戻ってきた。受付のスタッフも「始まったなという感じで緊張しています!皆さん楽しみにしていたようでとても嬉しく思います。」と張り切っていた。
館内に残っていた奮闘の「跡」
元日の地震でのとじま水族館は水槽に水を送るための配管が割れるなど、施設に甚大な被害が発生。人気者だったハクとハチベエ、2匹のジンベエザメも死んでしまった。「干上がってしまったら魚全部死んでしまうのでこの水位というのはすごく大事な指標になっていました」水族館の職員が見せてくれたのは、水槽にマジックで書かれた線。水漏れによって水槽の水が減る中、飼育員たちが必死に生き物を守った「跡」が残っていた。
210種約7500匹の生き物たちが客を出迎えた。「1月1日の震災を生き残ったマダイたちでございます。約7カ月ぶりのショーになりますのでとくとご覧ください」マダイのショーでは音楽や照明にあわせて群れが泳ぎ、訪れた人を楽しませた。
訪れた人は:
「たのしい!」「夏休みの初日ということもあって連れてきました。観光地が復活してくれるのはいいことなんじゃないかなと思います」
館内で見つけたのは、行列の一番最初に並んでいた夫婦。のとじま水族館に特別な思い出があるという。「元々水族館が好きでここでウェディングフォトも撮らせてもらったのできょうはどうしても来たいなと思って」見せてくれた写真には、今はもういないジンベエザメが写っていた。この日はスタッフを応援したいという気持ちもあって訪れたという。
本格的な営業再開はまだ先に
訪れた人たちが思い思いに水族館を楽しむ一方…まだイルカのプールなどは空のままだ。のとじま水族館では劣悪な環境から命を守るため地震の後、9種63の生き物を県内外の施設に避難させた。今もイルカなど一部の生き物は避難したままで、目玉のイルカショーも休止している。
イルカとアシカの飼育を担当していた釘宮ひなたさん。イルカたちが戻ってくるまでは他の生き物を担当することに。「たくさんの魚が引っ越してきたので一日に10キロ以上のエサを切ってあげての繰り返しです。今できるのは魚しかいないと思って頑張っています」
イルカのプールは配管の修理が終わっておらず、暑い時期の移動も危険なため、まだ戻ってくる見込みは立っていない。「私たちもはやくみなさんにイルカショーとアシカショーを届けられるように頑張りますのでみなさん絶対能登島へ来てください!」と釘宮さんは呼びかける。
のとじま水族館は当面、高校生以上は1000円、中学生以下は無料の特別料金で営業。制限がある中でも週末には様々なイベントも用意しているという。