新進気鋭の木彫りアーティストの個展「キボリノコンノ展」が、富山市で開かれている。展示されているものは全て木でできていて、そのほとんどが食べ物だそう。驚くほどリアルな作品の秘密を作者に聞いた。
公務員から木彫りアーティストへ
思わず食べたくなるような木彫りの作品約140点が並ぶ個展「キボリノコンノ展」。
この記事の画像(17枚)作者は、静岡県在住の木彫りアーティスト・キボリノコンノさんだ。実は、木彫りを始めたのは公務員として働いていた3年前で、コロナ禍がきっかけだったという。
木彫りアーティスト・キボリノコンノさん:
(コロナで)やることが無くなって、ストレス発散もできず、気持ちがしんどくなる中、コーヒーを飲んでいた。コーヒー豆って木っぽい色で硬さも木みたいだと思って、これを木で作ったらそっくりになるのかと思って、小学校のころ使っていた彫刻刀を出してきて彫ったら結構そっくりになって。それからちょこちょこ作り始めた。「木彫りをやるぞ」みたいな気持ちは全くなく。
「どうやったらおいしく見えるかな」
一粒のコーヒー豆から始まったという木彫り。どんなふうに作るのか見せてもらうと、歯医者のような音が聞こえてきた。
先端にいろんな形のヤスリを付け替えられるミニルーターを使用して彫刻している。実は木工用ではなくて金属とかガラスを削ることが多い。
削っていたのは、ヒトデ型のスナック菓子。実物を手元に置いて、比べながら彫り進める。
触り心地にもこだわっているキボリノコンノさんは「目で見る立体の形より触った形の方がザラザラとかツルツルとか質感というのは触り比べてわかるので、最終段階では触って触っての繰り返し」と話す。
キボリノコンノさんの作品は、ほとんどのモチーフが食べ物だ。そのワケは、「食べるのが大好きだから」だという。
木彫りアーティスト・キボリノコンノさん:
富山に来るのも、おいしいお店を調べて予約して楽しみにして来た。彫ることよりも、食べることの方が好きなくらい食に対するセンサーというか「どうやったらおいしく見えるかな」と考え、それを木で表現しているだけ。
スマホ1つで楽しめる展示会
食への情熱あふれるキボリノコンノさんの展覧会では、不思議な体験もできる。
会場には、スマホで写真を撮ることで完成する作品もある。それは、写真に撮るとよりリアルに見える作品だ。木彫りでできた注がれているコーヒーも、スマホの認識機能は本物(料理)ととらえていた。
このほか、生卵や味付けのりのフィルムなど、透明感のあるものまで木で表現していた。
さらに、本物の食べ物の中に紛れた木彫りの作品を探すクイズもある。キボリノコンノさんの原点、コーヒー豆はかなり難易度が高めだ。
キボリノコンノさんは「『わーおいしそう!』とか『そっくり!』とか『これ知ってる!』みたいな、純粋にその場で楽しんでもらえればうれしい。スマホ1つ持って写真撮りながら楽しんでもらえたら」と笑顔で話す。
さらに、おいしいものがたくさんある富山に来るのを楽しみにしていたキボリノコンノさんは、「ラーメンの富山ブラックやシロエビのから揚げを木彫りで作ってみたい」と話していた。
キボリノコンノ展は、富山市民プラザで8月12日まで開催されている。
※くれぐれも、展示されている作品は食べられませんのでご注意ください。
(富山テレビ)