鹿児島県霧島市で、山あいに立つ2つの小学校が相次いで閉校式を迎えた。123年の歴史を持つ塚脇小学校と、147年の伝統を誇る佐々木小学校。最後の児童はそれぞれわずか4人、3人という小規模校だった。「みんなとの思い出が僕の背中を未来へと押してくれます」——児童代表のことばが、閉校式の会場に静かに響いた。
123年・147年の歴史に幕
3月15日、霧島市国分上之段の塚脇小学校で閉校式が執り行われた。123年にわたる歴史の締めくくりに、地域の住民や卒業生、歴代の教師らが集まり、思い出話に花を咲かせた。
最後の在籍児童は4人。そのうち校区外からの通学を認める「特認生」は2人で、卒業生を除く3人は近隣の小学校へ転校することになる。
児童代表は式の場でこう語った。
「みんなとお別れすると思うと悲しい気持ちです。でも、みんなとの思い出がたくさんできました。だからみんなとの思い出が僕の背中を未来へと押してくれます」
その1日前の3月14日には、霧島市横川町の佐々木小学校でも閉校式が開かれた。創立から147年という長い歴史を持つこの学校に、最後の児童3人をはじめ、卒業生や地域住民が集まった。
児童たちが披露した合唱曲「進め未来へ」は、閉校に合わせて教師らとともに作詞作曲した、この学校だけのオリジナルソングだ。「豊かな自然に囲まれ元気いっぱいな佐々木っ子」——児童代表の声が、校舎に最後の歌声を刻んだ。
霧島市内で2年間に5校が閉校・休校
この2校の閉校は、決して孤立した出来事ではない。霧島市教育委員会によると、市内の小学校35校のうち、すでに3校が休校しており、2025年度はさらに2校が閉校となった。つまり、この2年間だけで合計5校が閉校または休校という状況だ。
さらに、学校全体の学級数が5つを下回る小学校は市内に9校存在しており、特に山あいの地域では少子化の影響が顕著に出ている。地域の中心を長年にわたって担ってきた学校が、静かに、しかし確実に姿を消しつつある。
「苦渋の決断」——地域が一体となった存続への努力
2つの小学校はいずれも、閉校の前に地域と一体となって存続に取り組んできた経緯がある。しかし最終的には、それぞれの地区の代表者が「苦渋の決断」と表現する結論に至った。

佐々木地区自治公民館長の藤田純世さんはこう振り返る。
「『どうしても存続を』と地域の人は希望したが、学校現場や親にとっては『子供のことを考えてください』とあったので苦渋の決断をした」
塚脇地区自治公民館長の岩崎健一さんも、閉校後の地域の行方を見据えながら前を向く。
「小学校という役目は終わっても、この小学校という場は何かしら地域の活動の拠点になると思っているので模索していきたい」
地域の運動会や行事、その中心にはいつも小学校の存在があった。地域の核を失った2つの地区は今、新たなコミュニティのあり方を模索するという新たな課題に直面している。少子化という大きな波は、山あいの小さな学校をのみ込みながら、地域社会そのものの形も変えようとしている。
(動画で見る▶147年続いた学校も閉校に 山あいで進む「学校消滅」の現実と地域の苦渋の決断)
