ニセ電話詐欺の被害額が長崎県内で2025年に11億円を超え、過去最悪となった。犯人は身内や警察官、勤務先の社長などを装い、金銭をだまし取ろうとする。実際に詐欺の電話を受けた男性の証言から、巧妙な手口を明らかにする。
「息子が風邪をひいたとしか思わなかった」
詐欺の電話を実際に受けた男性が、当時の様子を詳細に語ってくれた。
県内に住む70代の男性小川さん(仮名)は、2025年のクリスマスイブに息子をかたる人物から自宅の固定電話にかかってきた。
小川さん:「もしもし」
息子をかたる人物:「もしもし、もしもし、お父さん?」
小川さん:「声が違うぞ」
息子をかたる人物:「風邪ひいた」
小川さん:「あー。風邪ひいたとか」
小川さんは「まさか他人とは思わない。本人が風邪をひいたとしか思わなかった」と振り返る。
息子をかたる詐欺師は話を続けた。
「株で利益が上がった。お金を振り込むために口座を教えてほしい。この後、担当者から電話がある」と告げた。
犯人側は判断する時間を与えないよう短いスパンで電話をかけ、小川さんのケースでは大手企業の名前を出して信用を得ようとしてきた。
野村証券の社員をかたる人物:「野村証券のタカハシです。あなたの息子の口座が凍結されていて配当金を振り込むことができません。息子さんが700万円脱税している。」
その後再び息子をかたる人物から電話があり「口座の凍結を解除するために現金を振り込んでほしい」と依頼してきた。その金額は200万円だった。
携帯ではなく「固定電話」に…怪しい
小川さんは「息子の不始末を少しでも補填しないといけないと思う親心で、詐欺とか、おかしいという考えには至らなかった」と心境を語る。
しかし、普段とは違い固定電話にかけてきたことを怪しく思い、息子の携帯電話に電話して確認すると詐欺だと発覚した。
その後、県警と協力して「だまされたふり」をして犯人グループの一員と思われる受け子の男の検挙につなげた。
ニセ電話詐欺の被害者の7割は高齢者だ。だます手口は日々巧妙化していて、県警は警鐘を鳴らしている。
県警本部生活安全企画課の狩野真一警部は「警察がたり、ニセ警察詐欺の予兆電話などは未だにあり、これはまだしばらく続くのでは」と現状を分析。「“ちょっとお金を振り込んでください”という言葉が出たら『詐欺じゃないか』と一旦立ち止まって警察に通報してほしい」と呼びかけている。
過去最悪の被害総額
県内で2025年の1年間に確認された「ニセ電話詐欺」は272件、被害総額は11億円を超え、過去最悪となった。
このうち、年末年始に急増したのは「息子をかたる詐欺」だ。2025年12月から2026年2月までの2カ月間であわせて60件、1億4000万円を超える被害が出た。
詐欺の電話やメッセージを受けた経験がある人は決して少なくない。60代男性は、知り合いが詐欺の電話を受けたという。「なぜこの人が引っかかるのかな」と驚いたそうだ。
20代女性は、一人暮らしの祖母に知らない人から電話が多く掛かってくると話した。「祖母には取らないでと言っている」と警戒を強めている。
急増するニセ電話詐欺。海外からの電話、+(プラス)から始まる番号は詐欺を疑ってほしい。そして、不審な点があったら110番通報、または#9110に相談してほしい。
(テレビ長崎)
