梅雨時期など外で洗濯物を干しにくい今の時期は、どうしても部屋干しになってしまう。そんなときに気になるのが「におい」だ。
洗濯をしたのに、生乾き状態の洗濯物のにおいに「うっ!」と顔をしかめたこともあるだろう。またこの時期は、汗じみや黄ばみも気になってしまう。
そこで臭くならない絶対条件と干し方、そして汗じみや黄ばみの落とし方についてクリーニング師の国家資格も持つ「洗濯ハカセ」こと神崎健輔さんに教えてもらった。
部屋干しで臭くなる原因は“菌”
神崎さんによると、部屋干しで臭くなる原因は2つあるという。1つ目は「モラクセラ菌」だ。
「洗濯槽の汚れの中に潜んでいたり、人の肌にも存在しているモラクセラ菌が衣類に付くと、その菌が衣類などに残っている皮脂などを食べて嫌なにおいを放ちます」
特に約20~30度の温度で5時間以上湿った状態が続くと、モラクセラ菌が爆発的に増殖し、衣類から酸っぱく腐敗したようなにおいを放つ状態にしてしまうという。
2つ目の原因は「洗濯機の清潔さ」。
「洗濯槽を定期的に洗浄しないと、洗剤カスなどの汚れが溜まります。その汚れに潜む雑菌が、洗濯中に衣類に付着する可能性があります。洗濯槽を洗浄するコースで1カ月に1回は洗浄することが大切です」
また、洗濯機を「洗濯カゴ」として使うことは避けたい。洗濯機内は、湿気が多く、衣類を長時間放置すると雑菌が繁殖しやすくなるため、洗濯カゴ代わりに衣類を前もって入れるのではなく、洗濯を始める時に入れるようにしよう。
洗濯は“裏返したまま”が正解
洗濯機に衣類を入れる際、表か裏か…、この悩みは多い。
神崎さんは、においの原因となる雑菌は人の肌にもついているため、洗うときは裏返しにするといいと話す。
「靴下やTシャツなどは、皮脂や皮膚に触れているため、表よりも裏が汚いです。脱いだら表に直す人もいると思いますが、“裏返したまま”が正解です。ただ、干すときは、裏表どちらでも構いません」
におわせないための絶対条件
そして、部屋干しした洗濯物をにおわせない絶対条件は、「“5時間以内”に乾かしきる」こと。
「洗濯が終わったらすぐに干すことがポイントです。洗濯機に入れたままにせず、5時間以内に乾かすことが、臭くならない条件です」
しかし、外出していたり、干すスペースや洗濯物の量によっては、“5時間以内”を守ることは難しいだろう。そんなときは、洗濯時に「酸素系漂白剤を使用して、皮脂などの汚れを落とす力を高めて除菌を行う。さらに抗菌剤入りの洗剤を使う」ことも、におい対策の1つだと神崎さんは言う。
また、柔軟剤の代わりにすすぎの際に一度洗濯機を止めて、「クエン酸」を入れるのも良いそうだ。
「衣類を柔らかくし、抗菌作用を発揮して雑菌の繁殖を抑え、嫌なにおいの発生を防いでくれます」
洗濯が終わり、乾かす際は「温度・湿度・空気の流れ」の3つをバランス良く組み合わせることが大切だという。
温度:高いほど乾きやすい
湿度:低いほど乾きやすく、湿度50%以下が理想的
空気の流れ:風を送り込むことで水分が早く蒸発し衣類の周りから湿気を離す
梅雨の時期には、これらの条件を整えるために、換気扇やサーキュレーター、除湿機、冷房などを活用したり、窓を少し開けて空気の循環を促すことも効果的。
神崎さんは、この3つがそろう最適な場所に「リビング」を挙げる。
「1日の中で人が多く過ごす場所はある程度、3つの条件がそろい、かつ過ごしやすい環境が整っていると思います。そういった空間は、衣類も乾きやすい場所です」
臭くならない干し方
衣類を干すときは、空気の流れを確保するために「隙間」がポイントになる。
「ピンチハンガーを使う場合は、衣類同士の“隙間”を作るように整列させると、早く乾きます。
例えば、外干しするときにタオル等で囲うようにして干す人もいると思いますが、それでは風通しが悪くなります。すべてが同じ方向に並び、反対側が見える状態が最適な干し方です」
ハンガーを並べて干す際は、拳1個分か最低でも指3本分の間隔をあけて干すといいという。
また、ハンガーを使ってフェイスタオルを干す場合は、ハンガーにマントを羽織らせるように干すといい。
部屋干しによるにおい対策がわかったあとは、汗ばむ時期の悩み、汗じみ・黄ばみの落とし方だ。