子供が持ち帰ってくる「上履き」。毎週末や汚れたとき、学期末などに持って帰ってきて洗うことがあるが、ほぼ毎日履いていることもあってにおいがしたり、洗うのも乾かすのも一苦労だ。
上履きの洗い方や乾かし方にコツはあるのだろうか。
クリーニング師の国家資格も持つ「洗濯ハカセ」こと神崎健輔さんに、そのコツを教えてもらった。
習慣的にコツコツ洗うことが重要
「どうしてそんな汚れ方をするの?」と思いたくなるほど、何度洗ってもすぐに黒ずみやにおいが気になる子供の上履き。だが、それは「しっかり洗えていないから」だと神崎さんは指摘する。
この記事の画像(10枚)「場合によって週1で持ち帰ってきていると思いますが、まずは習慣的に洗うことが非常に重要です。汚れは、時間が経過すればするほど落ちづらくなりにおいも悪化します。
嫌なにおいも汚れに含まれる一部です。洗えばにおい要素も落ちます。定期的に洗っているか、洗っていないかがポイントです」
一方で母親父親の中には「乾かないと学校や幼稚園・保育園へ持っていけないから洗うのはいいや」「今は汚れていないからこのままでいいや」と考えて洗うことを先延ばしにする人も多いと思うが、神崎さんは「洗わなかった分の汚れがたまるため、余計に汚れを落とすのに時間がかかってしまう」と指摘する。
洗う前は何もつけずに取れる汚れは落とす
上履きを洗うときは、洗う前の“乾いた状態”のときに「汚れを落とす」と、より汚れが落ちやすくなるそうだ。
「上履きに限りませんが、パンパンとたたいて落とせるような粒子系の汚れに関しては、水やせっけんをつけていないブラシなどで先にはらい落としましょう。ある程度汚れを落とした段階で、つけ置きをしたり、本格的に洗い始めると良いと思います」
つけ置きをする場合は、40度前後のお湯に酸素系漂白剤を入れて30分程度おく。40度前後は、皮脂などが落ちやすい温度なため、温度の力を使って上履きの内側にある皮脂汚れをふやかして落としやすくできる。
では、“本格的”に洗うときには、どのように洗えばいいのだろうか。
オススメは「固形せっけんを塗り込んで洗う」
神崎さんのオススメは、「固形せっけん」。
「もちろん、やりやすい方法で洗えばいいと思いますが、私としては、硬い固形せっけんを汚れた部分に直接こすりつけてからブラシやたわしを使って洗う方法が、1番摩擦力が高くなって汚れが落ちると考えます。
摩擦の力は大事なので、せっけんやブラシなど何も使わずに洗うことは避けてほしいです」
こすることで固形せっけんを上履きに塗り込み、ブラシやたわしで汚れをかき出していく。上履きの汚れは、「摩擦の力を使わないと落ちにくく、奥に入り込んだ汚れはこすらないと出てきません」。
靴底と側面で洗い方を変える必要はないそうで、習慣的に洗い続けることがポイントだという。
だが、それすらも大変なほど忙しい日もあるだろう。そんなときは、「洗濯機」を活用するのがおすすめだと神崎さんは教えてくれた。
面倒な時は洗濯機を活用しよう
上履きはネットに入れて自宅の洗濯機で洗ったり、コインランドリーなどにある専用の洗濯機を使うこともあるだろうが、それだけでは不十分。
ただ表面についた汚れだけを落とすには洗濯機が活用できるが、繊維の奥に入り込んだ汚れまでは落ち切らないという。
「すり込まれた汚れは落ちにくいです。摩擦の力は優れているので、洗濯機だけではブラシでこするのと同じく汚れを落とすというのは難しいです」
より汚れを落とすには、洗濯機を使用する場合も、固形せっけんをこすりつけたり、ブラシで汚れを落としてから洗濯機に入れる方が洗浄力は上がる。
そして、しっかり洗ったら、次のハードルは乾かすことだ。神崎さんも「洗うことが手間だと思う原因として“乾きにくさ”があると思うんです」と話す。
乾かすのに時間がかかるほど、嫌なにおいの原因にもなる雑菌が増殖していくので、におい対策としても早く乾かすことは大切だ。
早く乾かすポイントは「空気の通りが必要」と神崎さん。
「空気を送り込んで、その空気で水分を飛ばしていくと比較的早く乾きます」
汚れのついた上履きを洗うことは大変だが、習慣的に洗うことで「臭い!」「汚い!」と思う頻度は少なくなるかもしれない。そして、空気の通りを味方につけることで、乾かすことに頭を悩ませることもなくなりそうだ。
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神崎健輔
28歳で脱サラ後、現在は実家の老舗クリーニング店「白洋社」部長、IT企業の株式会社「クラスタス」CTO、全国どこからでも受注が可能な宅配ネットクリーニングサービス「Nexcy」を開発しCTOを務める。「クリーニング師」の国家資格を持ち、「洗濯ハカセ」として家庭でもできる洗濯・シミ抜き術を発信する洗濯のプロフェッショナル。All About「洗濯」ガイド。
(イラスト:さいとうひさし)