多くの自治体が直面する人口減少、少子高齢化に少しでも歯止めをかけようと、広島・竹原市で中学生らが地元の材料を使ったクッキーやカヌレで人を呼び込む案を考案。学年生徒全員が商品開発から営業まで役割分担をして、計画を進めている。その過程に密着した。

ウサギの島への観光客を引き込め

広島県竹原市立の忠海学園は小中一貫の154人が通う学校。中学3年27人全員で地元に人を呼び込む方法を話し合っている。

広島・竹原市立忠海学園
広島・竹原市立忠海学園
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学園のある忠海地区は、野生のウサギの島として有名な大久野島への入口に位置するが、観光客は素通りするため、どうすれば寄ってもらえるかが課題だ。27人の生徒たちは“模擬的な”会社を設立し、人気商品を開発することで、観光客を呼び込めないかと考えている。

“模擬会社”副社長の生徒:
忠海に外から人を呼び込んで、もっと若者が増えることが目標だけど、もっといろんな人に自分の愛着のある地域のことを知ってもらいたい

野川諭生アナウンサー
野川諭生アナウンサー

野川諭生アナウンサー:
調理室では商品の試作が行われています。みなさんとても真剣です

特産品を使った商品開発は試行錯誤を重ねている。当初は地元で愛されている豆腐店の豆腐と忠海地区に本社を置く「アヲハタ」のジャム、アレルギーに配慮した米粉を使った「ドーナツ」を考えていたが、試作を重ねても納得いくものができず、この日は、「カヌレ」と「クッキー」に初めて挑戦した。

“模擬会社”では営業部も

生徒たちは、“模擬会社”の運営ということで、商品開発だけでなく、いかにお金を集め、宣伝するかの「営業」を担当する生徒もいる。

実はこの「地元振興策づくり」は授業の一環で、“模擬会社”をいかに運営するかがテーマだ。立ち上げ時の資金は8100円で、開発から販売までをこなすのには足りない。そこで生徒の一人が思いついたのが地域の人に“株主”になってもらい資金を集める株式会社化。商品開発を進めると同時に、生徒たちは全力で協賛などを募る活動をしている。

営業部長の生徒:
大規模なところで売れるように、頑張っています

27人の生徒たちは、地元を盛り上げようと、それぞれが知恵を絞る。そして、ついにカヌレとクッキーが焼き上がり、試食した。

社長の生徒:
ちょっと“イチゴ感”が強いと感じたけど、このくらいだったらデザートとしては大丈夫かなと思った

生徒らは、夏休み明けには商品を完成させ、大きなターミナル駅で販売しようと計画を練っている。

取材した野川アナウンサーによると、忠海学園の児童・生徒数は減り続けていて、27人の中学3年生らも、身近なところで人口減少を実感していることから、「もっと多くの人に忠海のよさを知って欲しい」という気持ちで商品開発に真剣に取り組む姿が印象に残ったということだ。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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