鹿児島県指宿市の水迫畜産が、黒毛和牛以外の牛肉を「黒毛和牛」と表示するなど、不適正な表示で販売していたことが明らかになった。県外産を「鹿児島県産」と偽装するなど、複数の違反が発覚し、ふるさと納税の返礼品として16.5トン、一般消費者向けに10.7トンが販売されていた。

複数の不適正表示が発覚

国によると、水迫畜産は2023年1月から10月までの期間、交雑種やホルスタイン種などの牛肉を使った商品を「黒毛和牛」と表示していた。黒毛和牛は品種名であり、交雑種やホルスタイン種とは明確に区別される必要がある。

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さらに同社は、県外の牛肉を使用した商品を「鹿児島県産」と表示する産地偽装も行っていた。鹿児島県産の畜産物は消費者から高い信頼を得ており、この偽装表示は消費者の信頼を裏切る行為である。

個体識別番号の表示にも違反

牛肉の表示に関しては、複数の牛を原料とした商品では全ての牛の個体識別番号を表示する法的義務がある。しかし水迫畜産は、複数頭を使用した商品でも1頭のみの識別番号しか表示していなかった。個体識別番号は牛のトレーサビリティを確保する重要な情報であり、この違反は消費者の食の安全・安心を損なうものだ。

大量の商品が流通

不適正な表示の商品は、鹿児島市や姶良市などのふるさと納税で16.5トン、一般消費者向けに10.7トンが販売されていた。合計で27.2トンもの商品が不適正な表示で市場に流通していたことになり、その規模の大きさが問題の深刻さを物語っている。

ふるさと納税制度では、地域の特産品として県産和牛が人気の返礼品となっており、多くの寄付者が鹿児島県産の高品質な牛肉を期待して寄付を行っていた。今回の事案は、そうした寄付者の信頼を大きく裏切る結果となった。

「法令順守の意識が希薄だった」

水迫畜産は国の調査に対し、「法律は知っていたが法令順守の意識が希薄だった」と説明している。食品表示法などの関連法規を認識していながら、意図的に違反を続けていたことが明らかになった。

国が是正指示、知事も遺憾の意

国は水迫畜産に対し、適正な表示に是正することや再発防止策を取るよう指示した。今後、同社には表示の適正化と管理体制の見直しが求められる。

この事案を受けて塩田知事は、「県産和牛に対する信頼を揺るがしかねず大変遺憾。ふるさと納税については関係自治体に助言を行うなど制度の適正運用に向けて対応したい」とコメントしている。

鹿児島県の畜産業は地域経済の重要な柱であり、県産和牛のブランド価値は長年の努力で築き上げられてきた。今回の事案により、その信頼が損なわれることを県としても深刻に受け止めている。

制度の信頼回復が課題

今回の事案は、ふるさと納税制度と食品表示制度の両方に関わる問題である。関係自治体は返礼品業者の管理を強化し、消費者に対する説明責任を果たす必要がある。

また、畜産業界全体としても、適正な表示の徹底と消費者との信頼関係の再構築が急務である。一社の違反行為が業界全体のイメージダウンにつながることを教訓として、業界挙げての取り組みが求められている。

(動画で見る▶ふるさと納税返礼品に「黒毛和牛」偽装か 指宿の畜産業者、16.5トンを不適正表示で販売)

鹿児島テレビ
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