ガザ地区で10日、ハマスの最高指導者ハニヤ氏の息子3人と孫4人がイスラエル軍の空爆で死亡した。イスラエル軍は、攻撃対象がテロ工作員だったと正当性を主張した。ハニヤ氏は家族の死にも動じず、交渉への影響はないとアピール。ハニヤ氏の側近はハマスが「今週中には何らか回答を出す」としている。

休戦めぐる交渉の中…ハニヤ氏の子供たちが標的に

地元メディアはガザ地区北部で10日、イスラム組織・ハマスの指導者、ハニヤ氏の息子3人と孫4人が車に乗っていたところイスラエル軍に空爆され、殺害されたと報じた。

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イスラエル軍は、ハニヤ氏の息子3人はテロ工作員だったため攻撃したと主張している。ハニヤ氏は中東カタールに滞在しているが、死亡した息子たちはガザ地区に留まっていた。

ハマスとイスラエルが戦闘休止などを巡り交渉を続ける中、ハニヤ氏は「私の子供たちを標的にすれば、ハマスの立場を変えることができると考えるなら妄想だ」と声明を出している。

過去にも60人近い家族が犠牲に…

ハニヤ氏は、ハマスの最高指導者でガザ地区ではなく、中東カタールに拠点を置いて作戦などを決定しているという人物。

その子供たちが殺害されたということになるが、イスラエルの目的は何なのだろうか。

イスラエル軍に空爆されたハニヤ氏の息子らが乗っていた車
イスラエル軍に空爆されたハニヤ氏の息子らが乗っていた車

ハニヤ氏の子供たちは、イスラム教のラマダーンが明ける祝日を祝うために、ガザの北部を訪れているところを空爆で殺害された。

イスラエル軍は、南部からは軍を撤退させているが、改めて「ハマスに対しては攻撃を続ける、殲滅をするんだという目的は変わらない」ということをはっきりさせる意図があったのではないかと思われる。

今回、息子が殺されたとなると、人質の交渉などに影響が出るのではないかと懸念があるが、現在も交渉は進行中だ。

ハマス側は10日、息子が殺されたと伝えられた瞬間のハニヤ氏の表情を映した映像を公開。ここでハニヤ氏は、特に取り乱す様子もなく「神に感謝します」というような趣旨の発言をしている。

地元メディアなどによると、ハニヤ氏は全員で13人子供がいて、これまで60人近くの家族が殺されてきたと話しており、今回のような攻撃でも自分の態度は変わらないというところを、アピールしたいのではないだろうか。

ハニヤ氏が心の奥底で何を考えているかは分からないが、ハマスのようなテロ組織というのは、戦争で戦って死んだ場合「殉教者」とされる。これは名誉なことであり、交渉などに変更が出ることはないと、改めてアピールをしているのだと思われる。

交渉に関しては、進んでいるのだろうか。

FNN特派員がレバノン・ベイルートで9日、ハニヤ氏の側近に当たる、ハマス幹部のオサマ・ハムダン氏という人物のインタビューを行っているが、「今週中には何らかの回答を(ハマスが)出す」としている。

外交交渉の舞台に立つのが大きな役目になっているハニヤ氏
外交交渉の舞台に立つのが大きな役目になっているハニヤ氏

ハニヤ氏はカタールに拠点を置くが、現地組織とのつながりはどの程度あるのだろうか。

ハニヤ氏は、外交交渉の舞台に立つのが大きな役目になっている。実際のガザ地区での戦闘には、現場指揮官が最も影響力を持つため、現地リーダーのヤヒヤ・シンワル氏が軍事行動を指揮しているとみられる。
(「イット!」 4月11日放送より)

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