イスラエル軍がガザ地区で食料支援団体「ワールド・セントラル・キッチン」の車両を誤って攻撃し、職員7人が死亡した事故で、イスラエル側が誤攻撃を認め、謝罪した。
ネタニヤフ首相は悲劇を認めつつ、「戦場ではこういうことも起きる」と発言し、バイデン大統領は憤りを表明した。

食料支援団体職員が死亡

パレスチナ自治区ガザで食料支援団体の車がイスラエル軍の攻撃を受け、職員7人が死亡した事故で、イスラエル側が誤って攻撃したことを認め、謝罪した。

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ハレビ参謀総長は「ワールド・セントラル・キッチンのメンバーに意図せず危害が及んだことをおわびします」と発言。

イスラエル軍のハレビ参謀総長は3日、「重大なミス」と認め、謝罪した。
イスラエルのネタニヤフ首相も2日、声明を出し、「非武装の人々を意図せず攻撃する悲劇があった」と誤って攻撃したことを認めた。

食料支援団体の「ワールド・セントラル・キッチン」などによると1日、イスラエル軍と調整のうえ、団体のロゴをつけた2台の車がガザ地区中部の戦闘が終結した地域を走行中、イスラエル軍による空爆を受け、職員7人が死亡した。

今回のイスラエルの攻撃で亡くなった7人は、ガザ地区で食料支援にあたっていたアメリカのNGO(非政府組織)「ワールドセントラルキッチン」のスタッフで、20~50代、男性6人と女性1人、出身はイギリス、オーストラリア、カナダなど、さまざまな国の人がいる。

食料支援団体の「ワールド・セントラル・キッチン」は非常に有名で、一流レストランのシェフなども参加している。
過去には日本でも活動しており、新型コロナウィルスの集団感染が発生したダイアモンド・プリンス号にも食料を持ち込んでいた。

1日あたり24万食を提供

── ガザで激しい攻撃が続く中で、食料支援を行っていたということだが、ガザの方々にとって、かけがえのない存在だったのではないだろうか?

「ワールド・セントラル・キッチン」は、ガザでも現地シェフなどと協力して活動していた。
今回被害に遭った食料支援団体「ワールド・セントラル・キッチン」は3月30日に、巨大な貨物船を使って食料をガザに運んでおり、陸路での搬入が難しいため、地中海のキプロスから大型船を使い運んでいた。

衝突開始以降、175日間で陸路などもあわせてガザに4200万食、1日あたり24万食を提供してきた。
まさにガザ市民の生命線だったが、この事件で活動を停止している。

イスラエル軍はミスだったと謝罪しているが、ネタニヤフ首相は「戦場ではこういうことも起きる」とも発言している。

このようなコメントに対し、バイデン大統領は「激しく憤り、心を痛めている」とコメントしている。

── 欧米の民間人が殺害されたわけだが、アメリカの「イスラエル支持」の論調に変化は出るのだろうか?

イスラエル支持から、けん制する方に少しずつシフトしている。
論調によっては、これが加速するかもしれない。

支援を待つガザ地区の子ども
支援を待つガザ地区の子ども

戦闘開始から約180日が経過し、3万人を超える人が亡くなっている。
これを機に、各国の支援やアプローチが停滞したり、止まってしまうおそれもある。
さらに危機的になってしまう危険性もあるので、それだけは避けてほしい。
(「イット!」 4月3日放送より)

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