フィギュアスケートのオフシーズンとなるこの時期は、アイスショーや新プログラムの振付など、来シーズンに向けて準備を進めるとき。同時に“決断”する選手も多数いる。
その一人が、籠谷歩未(24)だ。日本のエース・坂本花織の小学校からの幼なじみで、近年は社会人スケーターとして活躍。これまでに全日本選手権へ3度出場している籠谷が、5月上旬、現役引退を表明した。

中野園子コーチ率いる「神戸クラブ」を拠点にしている籠谷は、20年に渡る競技生活を終えた。
彼女の現役ラストの試合は、坂本と同じチームで戦った国民スポーツ大会(国スポ)の団体戦だった。
盟友・坂本と歩んできた籠谷のこれまでを、インタビューと共に振り返っていく。
憧れ続けた最高峰の舞台
5歳でスケートを始めた籠谷。
テレビで全日本選手権を見て、氷上で演技をする選手が「きれいでかっこいい」と思ったことがきっかけだという。
憧れの舞台に大きく近づいたのは2018年。
シニアに上がってから、フリーに組み込んでいた3回転ルッツと3回転フリップ2本ずつの構成がはまり、全日本選手権の最終予選である西日本選手権で9位になる。
当時の籠谷は、「フリーは自分ができることをやれたので、決まった瞬間とても嬉しかった。やっと夢が叶いました」と涙を流して喜びをかみしめていた。
フィギュアスケートを始めたきっかけでもある、全日本の舞台への切符を初めて勝ち取ったのだ。

籠谷は「ずっと『一緒に全日本出ようね』と言ってくれていたのでうれしい」と、親友・坂本の存在が心強かったそう。そして坂本も彼女の存在が心強く、全日本出場を決めた瞬間に自分のことのように喜んでいた。
2人は小学校・中学校・高校と同じ学校に通ってきた。そして、切磋琢磨してきた盟友と出場する夢舞台の会場は、籠谷の地元でもある大阪・RACTABドームだった。
そんな籠谷にとって初めての全日本となったのは2018年。