アメリカのトランプ氏のSNS「トゥルース・ソーシャル」を運営する「トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ」が26日、ナスダック市場に上場した。
取引開始直後に、株価は50%以上上昇し、時価総額は約78億ドルになった。

株価が50%以上上昇

アメリカのトランプ前大統領のソーシャルメディアを運営する企業が26日、ナスダック市場に株式を上場した。
株価は取引開始直後、50%以上上昇した。

この記事の画像(13枚)

上場したのは、トランプ前大統領が立ち上げたSNS「トゥルース・ソーシャル」を運営する「トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ」だ。

すでに上場している企業との合併を通じて上場し、株価は取引開始直後、50%以上上昇した。
時価総額は、約78億ドルで日本円で1兆1780億円にのぼり、現地メディアによると、トランプ氏は株式の6割を保有しており、その資産価値は日本円で7000億円にのぼるという。

トランプ氏は、裁判や大統領戦で金銭的に厳しいという話もある中、気になる話だ。

まだあくまでも株で保有ということだが、トランプ氏が将来的にこの株を売却し、大金を手に入れる可能性もある。

まず、今回上場させた会社からくわしく見ていく。

今回上場させた会社の名称は「トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ」。
かつてFacebookや旧ツイッターともめてSNSから追い出されたトランプ氏が、自分がつぶやくための「トゥルースソーシャル」というSNSを作るために、2021年に設立した会社だ。

トランプの、トランプによる、トランプのための会社といえる存在で、つぶやいたり、写真を投稿したり、機能としてはXとほぼ変わらない。

このトランプメディア社が、事前に上場しておいたペーパーカンパニーと合併する形で、26日に上場した。
すると、株価は早朝の取引から急騰。50%以上上昇して、79.38ドルをつけた。

その後、利益確定の売りがあり、取引終了時は57.99 ドルとなったが、それでも16%も上昇という結果だった。

アメリカの報道によると、トランプ氏はこの会社の株式58%を保有していて、少なくとも26日の取引終了の時点で、46億ドル・6980億円相当の株式を手にしたことになる。

これにはトランプ氏も興奮気味で、早速SNSで「アイ・ラブ・トゥルースソーシャル!」と叫んでいる。
上場前日の記者会見でも「トゥルースソーシャルは、ピストルのように絶好調だ」と話している。

これだけ株価が急騰するほど、トランプ氏が立ち上げたSNSが、アメリカでは人気になっているのだろうか。

2月のアクティブユーザー数は、Facebookの月間ユーザーが30億人、Tiktokが20億人のユーザーなのに対して、トランプ氏のトゥルースソーシャルの利用者は500万人しかいないとされている。

主なユーザーは、今のところトランプ氏の熱心なフォロワーたちに限定されるとみられている。

親会社のトランプメディア社は、現金を使い果たし、損失もかさんでいたとアメリカメディアでは指摘されている。

株式公開にくわしいフロリダ大学のジェイ・リッター教授も、CNNの取材に対し「根本的なビジネスに大した価値はなく見える。高収益の大企業になる形跡はない」としている。

大統領になる可能性に投資か

利用者が少なく、経営がうまくいっていないのであれば、誰が今回の上場での急騰を買い支えたのだろうか。

もちろん熱烈な支持者やユーザーが応援の意味で買った分もあるとみられるが、トランプ氏が大統領になる可能性に投資している人たちも多かったと考えられる。

11月の大統領選で、もしトランプ氏が勝てば、このトゥルースソーシャルがアメリカ大統領の主要なコミュニケーションツールになる。
そうするとアクセス数も増え、広告価値が上がる。そこに先行投資した形と思われる。

企業法務にくわしいニューヨーク大学のマイケル・オールロッゲ教授は「トランプ氏が大統領選で負ければ、トランプメディアの株価は暴落するだろう」と話している。
しかし「もし勝てば、もっと長い期間、より高い株価にとどまる可能性がある」とも指摘している。

トランプ氏は、減額されたものの民事訴訟にからんで260億円という、多額の保証金の納付を迫られ、金策にも苦しんでいる。
しかし、今回の株式上場など、ビジネスマンとしてチャンスは見逃さない。

ただトランプ氏は、経営するカジノやホテルなどで過去4回の破産経験があり、安定した経営手腕があるかどうかには疑問が残る。

ただそのたびに立ち直ってきたのも確かで、トランプ支持派は、そのタフさとかお金を稼ごうとする意欲に賭けているのかもしれない。

今回、トランプ氏は7000億円程度の株式を手にしたことになるが、裁判の保証金が680億円で、その1割が取られてしまうことになる。

また、刑事裁判と民事裁判をいくつも抱えており、弁護士費用などを考えると、多くの負債を抱えることになるため、資金繰りに窮することになるとみられる。
(「イット!」 3月27日放送より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(13枚)