北陸新幹線の福井開業を控え、町のにぎわい作りに力を入れる小松駅前の商店街。能登半島地震でイベント中止に揺れるも復興に向けて、地域の活性化に尽力している人々をを取材した。

にぎわい作りに力入れる龍助町商店街

3月11日、小松駅前にある龍助町商店街に取り付けられたのは「ようこそ」と書かれたフラッグ。新幹線開業に向け準備は最終段階を迎えていた。

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中出精肉店の中出暁史さんは「いよいよですね、本当に待ちに待った10年越しの新幹線開業に向けてようやく町にフラッグがついてうれしいですね」と喜んで話す。

旧北国街道沿いに位置し古くからの町家が立ち並ぶ龍助町商店街の通りは、隣の西町と合わせて「北國とおり町」と呼ばれている。

ここで精肉店を営む中出暁史さん。10年以上前から開業に向けた準備の先頭に立ってきた。商店街では、これまでYouTubeで町の魅力を発信してきたほか、海外のインフルエンサーに小松の文化を紹介する活動も。

さらに、通りを歩行者天国にし、多くの露店が立ち並ぶ「北國とおり町マーケット」を定期的に開催し、賑わいづくりに力を入れてきた。

新幹線開業日には、周辺の商店街と同時に「北國とおり町マーケットのスペシャルバージョン」を開催。ミニ新幹線を呼び、町を眺めて楽しめるフェスタが行われるという。商店街だけでなく通り全体でのイベントも盛り上がっていくということで、中出さんは「小松を楽しんでもらえたらと思います」と話す。

イベントで能登半島地震被災者へ支援

しかし、イベントの準備を進める中、能登半島地震が発生。イベントを中止するか悩んだが、能登への支援につながるとの思いからイベントの開催を決めた。

イベントでは能登からの出店を無料にするほか、義援金を呼びかけることにした。

中出精肉店・中出暁史さん:
やっぱり能登とかは亡くなった方がいらっしゃたりとか本当にそんな中で賑やかにして、人を呼ぶというイベントをしてもいいものかどうか、というすごい葛藤はあるんですけども、でもやっぱり南加賀僕らこっち側で被害がなかったところでたくさん盛り上げて能登の長い支援していくのも僕らの使命かなと思っています。

被災したカフェも参加へ

珠洲市宝立町にある旧鵜飼駅でカフェを営む影田奈央子さん。

オーガニックの料理や菓子を提供していたカフェ「natural cafe minanto」は、倒壊は免れたものの店内は散乱。こだわって使っていたヴィンテージの皿なども多くが割れてしまった。

小松市のイベントに参加していた影田さんは、新幹線の開業日にも出店する予定が、3月12日現在も断水と停電が続いているため営業再開は見通せない。

影田奈央子さん:
水が出ないので片づけだいたいできるところまでなんとなくやったという感じなんですけど…。

地震で諦めかけていた影田さんに「北國とおり町マーケットに能登のブース作ったらどうやろう~って話も出てて一緒にやりたそうな方々いますか?」とのお誘いが。

写真中央、青のスカートをはいているのが影田さん
写真中央、青のスカートをはいているのが影田さん

「誘っていただけたことで手を差し伸べてもらったような気持ちになったのでお声がけいただいたこともすごく嬉しかったですし、手を差し伸べてもらった分、自分も頑張ろうと思いました」と開業日の北國とおり町マーケットへ参加することを決めた。

影田さんは今、金沢市内のベーグル店の厨房を借りてイベント当日に販売するクッキーなどの準備を進めている。

影田奈央子さん:
今回厨房を貸してもらえることになったおかげでイベントも出られるようになったのですごくありがたいですね私としても小松・加賀の人たちに何か恩返しをしたいなという気持ちもありますし新幹線が開業したことによって小松の方が賑わってそれがまた支援の輪につながっていけばいいなと思っています

「開業はスタート」楽しい小松を

100年に1度のチャンスと言われる新幹線開業。
中出さんは開業のその先も見据えている。

中出精肉店の中出暁史さん:
開業というのはゴールではないと思っているんです。開業がスタート。なので開業して本当にアクセスが良くなってたくさんの人が小松にいっぱい来ると思うんです。その方たちをおもてなしして、小松って楽しいなと思ってもらえるような取り組みをこれからも続けていきたい。

(石川テレビ)

石川テレビ
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