台湾・台北市で行われた世界ジュニアフィギュアスケート選手権。
ペア代表で“さえルカ”こと清水咲衣・本田ルーカス剛史組は、この世界ジュニアで世界との大きな壁を感じたという。
今シーズンの最終戦を終えて、2人は来季に向けてさらなるパワーアップを誓った。
ジュニアとしては最後の大会
清水と本田の2人は、シングルとして年末の全日本選手権に出場した。
そして本田は、2022年のエストニアで行われた世界ジュニアにもシングルで出場している。
ペアとしての世界ジュニアは今回が初めてだ。
その“さえルカ”は、今大会をもってジュニアのカテゴリからは卒業する。
そして来シーズンからシニアとして戦うため、この世界ジュニアは最初で最後の大舞台となる。
この記事の画像(9枚)公式練習後、清水は「大きな舞台、初めてジュニアで世界ジュニアまでたどり着いたこと、本当にうれしい。最後まで全力で自分たちの演技ができたら、笑顔で終われたら」と意気込む。
本田も「とにかく悔いのないように、あとは出し切るのみ。それがテーマになってくる」と語った。
ペア・ショートでは、年明けの国際大会バヴァリアンオープンの点数から4点近く上げ、43.69点で14位につく。
清水は「ツイストは自分たちにとっては最高のものではなかったんですけど、この間のバヴァリアンオープンから少しでも成長を見せられたと思う。
そしてスピン、ステップでもしっかりレベルを取れたので、カナダでこの大会まで練習してきたものをすべて出せたんじゃないかな」と練習の成果が出たショートだったと振り返る。
本田も「コンポーネンツを前の大会よりも大きく伸ばしたいと、コーチと一緒に練習した。その点もよくなったということはすごくよかった」と話す。
最高のスタートを切ったペアショート。
しかし続くフリーでは、ミスが響き思うような演技ができず、総合14位で世界ジュニアを終えた。
さまざまな課題をクリアして世界ジュニアの舞台にたどり着いただけに、本田の目には悔し涙があふれた。
経験の足りなさを痛感した世界ジュニア
シングルとペアの二刀流で駆け抜けてきたシーズン1年目。
「足りなかったのは“土台づくり”」だという2人は、すでに来シーズンを見据え、さらに経験値を積み重ねていきたいと語った。
初めての世界ジュニアを清水は「大きな大会に出ることができて、本当によかったという気持ちと、この大会に出たからこそ、たくさんの課題が見つかったので、次に向けてステップアップしていきたいです」と振り返る。
ペアとしては初出場となった本田は「この大会に出ることが目標だったので、この会場に来て、この大会に出られるんだ!よかったな、というすごくうれしい気持ちと、悔しいところもたくさんあったので、もっともっと強くなりたいと思った大会でした」と話す。
戦い終えたあと、2人は一番悔しかったことを「練習でできたことが試合で出せなったこと」だと言う。
それは“経験の足りなさ”と分析した。
「僕としてはまだまだ経験がない、経験が足りないと思っている。ペアの試合自体、まだそんなに(経験を)詰めてないことが原因にあると思う。
もっともっと経験を積んで、もっと自信を持って試合に臨むことができるようになったら、練習と同じようなパフォーマンスができるようになるんじゃないかな」(本田)
新たな自分の“理想”を追いかける
来季はペアに専念するという本田。
一方の清水は「まだはっきり決まっていない」としつつも、「話し合って考えていくが、ペアメインで練習をしていくと思う。でもシングルも大会に出られる時は出たい」と、ペアを主軸にしていくと語った。
1シーズンを終え、本田には筋力もつき、見た目も変わってきた。
自身の変化について聞くと「筋肉は前よりつきました。毎日リフトをしたりするのでついてきますが、でも、まだまだ足りていない。もっとムキムキになりたいなと(笑)。でも、筋肉がついてきたことがリフトの安定感とかにもつながっている」と明かした。
その本田は、シングルで世界ジュニアに出た2022年に、ミラノコルティナ五輪まで4年前の時期だったため「4年後宣言」を書いてもらうという企画に参加してくれた。
当時の本田は4年後、「理想のルーカス」になっていることをその目標に書いていた。
シングルで世界ジュニアに出場し、今季ペアに移行して「理想のルーカス」の道のりは変わっている。
それでも本田は、「新たなルーカス像」を描き、未来を見据える。
「当時の理想とはもちろん違いますが、今また新しく自分の理想を作って、そこに着実に近づいていると思う。
これまでシングルも頑張ってきたので、その面もアピールしつつ、ペアの選手として世界で活躍できるように…。
僕のスケートの理想は、アスリートとしての理想でもあるんですけど、アーティストとしてもそんな選手になりたいなと思ったので。
それはペアをやっていても変わらず、しっかり活躍できるような選手になりたい」
「2人で滑る」クオリティを高める
初めての世界大会を終えた“さえルカ”。
来シーズンに向けて清水は「まず、時間かけて練習して、2人で滑るというクオリティをもっと高めたい。自分としては目の前の大会に全集中して、着実にステップアップできるように楽しんで頑張りたい」と意気込む。
本田も「自分が毎日やらないといけないこと、毎日練習しないといけないことを、日々クリアしていって、それを積み重ねていった先に、世界ジュニアにも出ることができた。それを続ければ、ご褒美や大会に出られるということをモチベーションに、今後も頑張っていきたい」と語る。
2人の憧れは日本のペア界をけん引する世界王者のりくりゅうだ。
来シーズンからシニアに移行することで、三浦璃来・木原龍一組と同じ舞台で戦うことになる。
りくりゅう先輩の背中を追いかけ、理想のスケーターへ向かう2人の歩みを見守りたい。
世界ジュニアフィギュアスケート選手権2024
3月10日(日)深夜2時50分~3時50分https://www.fujitv.co.jp/sports/skate/worldjr/index.html